数珠が切れるとき~八宗用から門徒仕立てへ~

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※(当ブログでは、念珠=数珠として書いています。文脈上の理由などから混在することがありますが、ご了承ください)

実は直してばかりいます

皆さんのイメージでは、念珠屋さんは1年中、新しい念珠を制作していると思っているかも知れませんが、新規で仕立てることよりも、修理の方が数でいうと多いです。

うちでは加工状態の良い玉を選んで制作していますが、修理になると、あらゆる事態が想定されますので、「念珠が作れる」と「念珠の修理ができる」というのは別の技術です。

自店で売ったものしか受け付けないというお店もありますが、おそらくそういう事情です。

念珠が壊れるとき

いろんなことが考えられますが、一番は古くなったということだと思います。

玉の部分は素材によって経年変化はあっても強度が極端に落ちることはありません。
しかし、中通しの糸や、房については、年数が経つと古くなります。

「故人のメッセージかも」「霊の仕業だ!」「妖怪のせいなのね、そうかもね」とおっしゃる方もいますが、仏教の立場としては、基本的にそのような事は関係が無いと考えます。

そのあたりはデリケートな部分でもありますので、いずれ別な記事として取り上げたいと思っています。

ペットにかじられた!

そんなことあるかいな、と思いますが、実は近年けっこうよく聞くパターンです。特にわんちゃんは房の部分がとても楽しいようで、かじったり振り回したりしたくなるみたいです。

昔とちがって、室内犬が増えたということもあるでしょうね。

でも、かじるのは犬だけではありません

子どもにかじられた!

小さなお子さんがおしゃぶりや歯固めのようににして遊んでしまうこともあるようです。

修理のご依頼主であるお母さんは切実なので笑っては申し訳ありませんが、その姿を想像するだけでなんとも微笑ましいですね。

先日お預かりしたのはこちらです。

なかなか豪快にかじられていますね。笑

意外と知られていない弟子玉の配列

話は変わりますが、房の上をよくご覧ください。

房に近いところから、しずく型の玉が「つゆだま」その上には小さな玉が5個ずつ入っています。

これは「弟子玉」と呼ばれています。各10個で、お釈迦様の十大弟子を表しているという説もあります。それで、通称弟子玉。

この形が双輪では一番スタンダードで普及しているタイプです。
業界用語では八宗用と呼ばれています。

宗派でいうともともとは真言宗の形なのですが、いつの間にか「どこの宗派でも使えます」と書いて売られています。
「どこの宗派でも」といっても、日蓮宗系では認められておりませんのでご注意ください。

ご依頼主は浄土真宗でしたので、このままでも問題は無いのですが、これを機に(門徒仕立て)に作り替えました。

門徒仕立とは

浄土真宗ことを門徒(もんと)と呼ぶこともあります。
普段の会話では、親しみを込めて「門徒さん」といいますね。

北海道ではほとんど市販されていないかもしれませんが、浄土真宗専用の形というのもあります。

弟子玉を片側に寄せてこのような配列にします。
これは、僧侶が袈裟を掛けたときにもつ大きな装束念珠と同じ配列になっています。

弟子玉があるほうは日蓮宗型にもよく似ています。特徴的なのは片側に玉が一つも無いところ。特に上部の輪が2重になる結び方は「蓮如結び」と呼ばれています。

浄土真宗は念仏をする宗派ですが、念仏の回数が往生の条件になるという考え方はせず、感謝の念仏です。そこで、念仏を数えないように、浄土真宗にとっては親鸞聖人から数えて8代目にあたる蓮如さんが考案したとも言われています。

(だとしたら、どうして2代目如信さんの時にすでに分かれている真宗各派でもつかうんだろろう・・)という、マニアックすぎる疑問は横においておきます。

それと、玉を外した理由は念仏を数えないということだとしても、何故この結び方にしたかという理由については見聞きしたことがありません。

(そもそも、蓮如結びじゃない方には倍の数の玉が入っていますので、よりたくさん念仏を数えてしまいそう・・)というツッコミもこの際しないことにします。

切れたのもご縁

何はともあれ、こちらの念珠はたぶん10年そこそこ使われているもので、そろそろ房を換えてもいい頃かなという状態でした。

また、修理することで「門徒仕立」についても知っていただける機縁となりました。

そう思えば、切れたのもまたご縁というものです。
ばっちり直しましたので、今度は「門徒仕立」として、また末永くお使いいただけると思います。

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