遊び心

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私が念珠屋になるまで・・改め その4

どうしようもない学生時代を経て、転職を繰り返す20代も終盤にさしかかったころ、「営業職」を探し始め、偶然みつけたのが仏具の営業でした。

札幌時計台からほど近いビル、雪深い季節でした。

そこまでのお話しを読み返したい方ははこちらをどうぞ。

その1(学生時代)
その2(プログラマー)
その3(介護の仕事と営業職さがし)

仏具店へ就職

面接

営業の「え」の字もわからない、仏具の「ぶ」の字もわからない。

そんな状況ではありましたが、とにかくガッツと情熱だけは胸いっぱいにして面接に臨みました。

何か質問はありますか?

一般的なやりとりを一通りして、短い面接を終えました。

「何か質問はありますか?」面接の最後では、よく言われることです。多くの学生は「特にありません」と返事をして面接終了となることでしょう。

自分はこれから「仏具」を販売したいと思って面接に受けに来ているのです。そう思うと、とても疑問な事がありました。

「仏具って、そんなに売れるものですか?どうやって仕事が回っているんですか?」

「仏具」と聞いて自分の人生の中で想像つくものといえば、実家の仏壇くらいです。それは、昔、祖母の家から持ってきたものらしく、何かのタイミングで買ったんでしょうけど、詳しいことなど聞いたことはありません。それから特にお道具増えたような記憶もありません。

それ以上無理して思い出してみても、せいぜい、小さい頃に両親に連れて行かれたお寺で、大きな仏具を見たことくらいでしょうか。でも、どんなものがあったか意識したこともないし、お寺の仏具なんて一生変わらないというイメージしかなかったのです。

今思うと、とても失礼な質問ですが、社長は「それは良い質問だね。」と快く答えてくれました。

仏具を売るという仕事はある

その会社は、街の仏壇屋さんとは違い、寺院仏具を専門にしていました。

そのとき始めて知ったのですが、お寺の仏具というのは、どのお寺でも全て揃っているわけではないということでした。
住職様が何代も世代交代しながら、その時代ごとの総代さんとよばれるお寺の役員と力を合わせて、少しずつ発展するということです。

北海道は古いお寺でもせいぜい100年程度、住職様が3~4代目ということが多く、まだ揃っていない仏具もたくさんありました。
どの宗派のお寺でも、宗祖の法事は50年毎に大法要があったり、寺がその地にできて100年、200年という節目があったりします。そういう機会に合わせて、寄付を集め、足りない仏具を購入したり、修復に当てたりするということが多いです。
また、住職様の交代、結婚、本堂の立て替えなどお寺の大きな出来事に合わせて、仏具を整えるということもよくあります。

それもまた問題になっていますが、ほとんどのお寺では10年に一度くらいは大きな出費があることになります。

仏具業界全体が下火になっているとはいえ、一般の方にはあまり目の触れないところで、 たくさんの仏具が売り買いされていることを知りました。

面接というより、採用後の新人研修にも近い話を聞かせてもらいました。
後に、採用の連絡をいただくことになります。

仏具店の営業マンとして

人生初の営業

仏具の事はもちろんですが、社長の鞄持ちをしながら、営業という仕事のイロハを教わりました。

それまで営業職のイメージを大きく勘違いしていることを知りました。
このことは僕にとって大きな財産です。

手を動かしてものを作る、汗をかいてサービスを提供する、それが仕事だと思っていたものですから、誰かが作ったものを横流しして利益を得る営業職というのは、どうしても卑しい商売に見えていたのです。

しかし、お客様からみれば、営業マンこそが理解者であり、頼む相手であるのです。

仏具の勉強

仏教を学びたいと思ったのはもう少し後の話で、まずは取り扱っている仏具の勉強が必要でした。

今思えば、特に最初のうちは勉強と呼べるほど難しいことではなく、仏具の名前を覚えるだけでも大変でした。

商品知識にあわせて、木工、漆、金箔、彩色、鍍金(めっき)等の職人技術についても学ぶ事になりました。

仏教に近づく

意外かもしれませんが、仏壇、仏具の営業マンや販売店員が仏教にも精通しているかというと、意外とそうでもなかったりします。
住宅の営業、車の営業も、それぞれの業界の話を聞けば、そういうものらしいです。技術者のように中身を知っているわけではないのです。

今でこそ、「ベネフィット」という言葉が一般的にも使われるようになりましたが、当時はそういう言い方もありませんでした。

僕は、新しい仏具をいれることで、お客様(主にお寺)がどう変わるか、どのような良い影響をもたらすかということを勉強する事よりも、仏教そのものに興味が向いていきました。普通の営業マンが勉強するべき事は前者です。

念珠を持つ

お寺参り

一人で営業に回る様になった頃の話です。

ある日、飛び込み営業をしたあるお寺で呼び止められました。
上がるように勧めてくださいましたので、玄関で靴を脱ぎました。

応接間に向かうまでもなく「あんた、なんか忘れてないかい?」と言われたのです。

ただでさえ新米営業で緊張しているところに、それはもう心臓が止まりそうでした。
今来たばかりなのに、何の粗相があったのか自分でも全く分かりません。

そのまま住職様は、だまって本堂に向かい、ご本尊に向かって手を合わせることを教えてくれたのでした。

先祖供養に準ずるようなことは、子どもの頃から親と一緒にした記憶はありますが、何のためでもなく純粋にお寺参りをしたという経験は、これが初めてでした。

いや、純粋だったかどうかは別として・・

一つ付け加えるならば、そのとき合掌した手には、念珠がかかっていませんでした。

自分の念珠

会社に戻ってそのようなことが営業先であったことを話すと、社長が使わずにしまってあった一連の念珠をもらいました。

「あんな事件」に備えて、いつでもカバンに念珠を持ち歩くようになりました。


※写真はイメージで、当時使っていたものではありません。

食事の前には「いただきます」、他人の家にあがる時には「お邪魔します」と言うのが当たり前であるように、お寺に行くとご本尊をお参りしないとなんだか気持ち悪いと思い始めたのもこの頃からです。

信仰心などという高級な志向ではなく、単純に仏様にも挨拶したいという感覚です。

念珠って切れるんだ

今でも修理する念珠の話なんかでよく聞きますが、念珠が切れるというのは一般的には一大事です。
滅多にないことが、よりによってお通夜の日に切れたりするものですから、慌てたりします。

冷静に考えたら、静かにしまってあるものが自然に切れることはあまりないですし、日頃は目も向けないものをたまに使うから「よりによって」というタイミングで切れるだけなのですが・・。

毎日営業に回りながら同じものを持ち歩くと、意外と短い期間で念珠が切れるということを知りました。

初めは、念珠の仕立てが出来る業者に送って直してもらいましたが、たいしたことじゃないのに、時間も費用もかかる。
見る限り、自分でもできそうだなと思ったのです。

ところが、念珠の作り方がまとまっている本などなく、教えてくれるところもありません。

かろうじて、極々簡単な結び方、玉の通し方は何人かの方に教えていただくことができ、そのアレンジで少しずつレパートリーも増えていきました。

そんなことがきっかけで、仏具の営業の傍ら、念珠を持つこと、作ることの面白さを覚えていきました。

* * *

この連投も後半戦になりました。

その5では、仏具営業をしながら自分の中で起きていた、葛藤と終焉について書いていきます。

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念珠が1万円! 高い? or 安い?

「念珠って、いくらくらいで買えるの?」

お客さんとしてではなく、別なところで知り合った人によく聞かれる質問です。

これはなかなか難しい質問です。

今や100円ショップでも売っています。
500円のものもあれば、5千円、5万円、50万円だってあるのです。

値段の付け方

商品の価格って相場があるんでしょ?

まず知っていただきたいのは、ほぼ同じだろうと思われる商品でも10倍値段が違うことが平気であるということです。

これは念珠に限った話ではありません。

100円のコーラを1000円で売る

昔、そのようなタイトルの本が売れていました。
そんな事あり得るのか?思うようなタイトルですが、簡単な話です。

コンビニで1本1000円のコーラが売れるはずはありませんが、高級ホテルのスィートルーム、ルームサービスを頼んだとしましょう。

ボーイがワゴンで運んできて、バカラのグラスにアイスペールからロックアイスを入れます。

その場で、プシュっとコーラの缶をあけて注ぎました。

それを、革張りの高級ソファーで、仕立ての良いガウンを着て、ホテル最上階の夜景を眺めながら飲みました。

チェックアウトのときに、昨夜のコーラが1000円だと知っても、全く不思議には思いません。

念珠の場合はどうやって決める?

さて、念珠の値段に話を戻しましょう。

仏具関係全般に言えることですが、「高くするほど有り難い」という不届き者の理論がまかり通っていた時代がありました。

一応断っておくと、高くすることが悪ではありません。
ホテルのコーラのように、コーラをよく知っているお客さんの満足に対して適正な対価なら良いのです

ネットで情報が溢れ、他店の値段も簡単に調べられるようになった今は、法外なぼったくりは少々落ち着いた印象もあります。

逆に、「見た目」と「適正価格」が固定されると、見えないところでコストダウンを計るしかないという業者が多いのも残念なところです。

提案、材料の質、加工、仕立、そしてアフターケアまで含めると、うちではかなりのコストパフォーマンスで提供しているつもりです。 

その中でも、値段を決めているのは、材料の質と加工の部分です。

他の項目に関しては、値段が大きく違っても、対応はほとんどかわりません。

他社さんはわかりませんよ。あくまで長岡念珠店の場合です。

1万円の念珠は高いか?

たとえばレストラン

そこそこの料理を出すお店で、ちょっとしたコース料理とお酒を飲んだら1万円というのは、ファミレスよりはかなり高いですが、高級店までは行かないと思います。
顧客単価1万円というのは、外食産業が、今一番狙っている価格帯らしいです。

ゆっくり食べても2時間くらい。念珠は一生使えます。

たとえば遊園地

東京ディズニーランドの1デイパスポートは、7400円。
これに、決して褒めらたものではない園内のレストランでランチを食べて、ポップコーンを買ったら1万円。

遊園地なら1日楽しめます。念珠は一生使えます。

たとえば洋服

アパレル業界とはすごいもので、いわゆるファストファッションの安さには驚くばかりです。陰では多くの問題も抱えていますが、その話はさておき・・
「しまむら」に行けば、ちょっとしたスカートとセーター、そして、今年流行っているデザインのコートを買っても、1万円くらいでいけてしまいます。

1シーズン着たら流行も過ぎてしまいます。念珠は一生使えます。

それでも高いですか?

「うわっ、念珠やっす!1万円安すぎ!」

ってなればいいのですが、現場では、1万円の念珠とはけっこう意識高い系のレベルです。


意識高い系のお姉さんが買ってくださる、ブルークォーツの雫(しずく)カット仕立 10,800円

現実は厳しいもので、うちで一番たくさん仕立をしている念珠は、3千円くらいの古い念珠を2千円くらいで修理しています。

いずれにせよ、100円ショップには何も罪はなく、それが世間の感覚だということを肝に銘じて、業界のイメージアップを考えたいと思っています。

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私が念珠屋になるまで・・改め その3

僕がどうやって念珠屋になったのか、その経緯を徒然書いています。

なんとなく過ごした高校時代。
一人暮らしの自由さに、気ままに遊びまくった大学時代。
そして、就職するも、社会の厳しさに心折れた20代。

遡ってお読みになりたい方は、その1その2もご覧ください。

この記事では、いよいよ仏教との出遇いに近づきます。

人間らしく生きたい

20代の後半にして、どたばたと会社を辞めてしまいました。

会社員としての自分を振り返ると、つらくて逃げたのは事実ではありますが、当時はまだまだ勢いもあり、挫折とは違う感覚でした。

エンジニア道

「会社が悪い」ということが一番の理由なら別な会社に入れば良いことです。
しかし、「業界全体がだめだ、社会が狂ってる」などと、勝手に妄想が広がってしまいました。

「じゃあ、どうしたいの?」とシンプルに自分自身に問い直してみました。

パーティションに囲まれて、一日中会話もせずにパソコンに向かっているのは耐えられない。黙々作業するなんて無理だ・・

色々、不満とか辛いこととかあったわけですが、要するにそういうことです。

(それって、大抵の技術職ダメですよね。)

なんとなく小さい頃から国語より算数の方が得意だったというだけで、工学部に進み、エンジニアに進む道しか自分では想像していませんでした。その末路が当時の僕の姿でした。

最初の方向転換

人とかかわる仕事がしたい!

かつて、ちょっとは憧れた幼稚園や学校の先生という道は、結婚して無職の青年が今から目指すには難しすぎました。

その頃、介護施設が乱立している時期で、介護職の募集が新聞の求人記事を埋めていました。

これだ!と思った僕は、少ない蓄えの中から費用を用立ててもらい、ホームヘルパー2級の資格を取りました。(現在は、「介護職員初任者研修」という名前に変わっています )

介護の世界へ

資格を取ると同時に、就職活動を始めたのですが、ここである問題にぶつかりました。

ちょうどこの頃、男女雇用機会均等法が改められ、求人広告に性別が書いてありませんでした。(現状、詳しいルールはわかりません)

圧倒的に女性の職場である介護の現場では、電話をした時点で「ごめんなさい、男性はちょっと・・」と断られます。

これは予想外でした。まったく無駄なルールが出来たものです。それなら、はっきり「女性募集」と書くべきです。

それでも、数打ちゃ当たるで、中には「男性を探してました」という施設もありました。

一発で採用していただき、すぐに第一線で働き始めました。

しかも、働き始めて早々、いずれは事業所の後継者ということも考えたいという話までされました。

それはそれは、学ぶことの多い仕事でした。

前職とはあまりに違う環境で、出社から退社まで一日中、利用者さんとも、職員とも話をしなければならないのです。

給料に関しては、ずいぶん下がってしまいましたが、それはもともと分かっていたことでしたし、お金と引き換えに人間らしさまで奪われるのはもう嫌でした。

思わぬ落とし穴

仕事自体は毎日楽しく、本当にやりがいもあり、これが天職だったんだなくらいに思っていました。

しかし、2ヶ月目にして大変な事に気付きました。

前職でそれなりにもらっていたものですから、税金が一気にきてしまったのです。

税金をまともに払うと、とても生活できないような金額(一桁万円)しか手元に残らないのです。

国保にすると扶養というのもなく、退職後の任意継続等ということも当時は勉強不足で知りませんでした。(新社会人のくせに退職の仕方を勉強しているひとなんていませんが・・)

社長にも相談したのですが、もともと給料もある程度優遇され、手取りが増えるように時間外の仕事もなるべく優先して入れてくれるという配慮は、すでにしてくれていました。

「これから伸びる市場ではあるけど、政府の財源が決まっているから、それに合わせてしか事業を拡大できない」ということもよく理解できました。

一人なら腹を空かせながら頑張るか、というくらいの話ですが、なんせ新婚だったもので、将来的にも家族を養う収入が見込めないというのは、続けるのが難しいという判断でした。

3ヶ月は研修期間ということでした。

正職員として迎えてもらってからではさらに迷惑を掛けてしまいますので、事情を話しすぐに辞めることにしました。

新婚プータロー

「プータロー」ってたぶん平成生まれには通じない言葉ですね。

新婚間もないというのに、ここに数ヶ月、職歴のない期間があります。

新妻は仕事へ出かけ、僕はすぐに仕事には就けず・・・。

とりあえず無難に働けそうな会社をいくつか面接を受けてみたのの、留年した上に、ころころ仕事を変えている人なんて、危険因子でしかありません。

平日の昼間に庭の草むしりをしていると、「あれ、もう盆休みに入ったのかい?」と向のおじさんに声をかけられると心苦しかったです。

その頃は急激にネットマーケットも拡大していましたので、「ネットで何か売れないだろうか」なんてちょっとイタズラしてみたこともあります。

日本の雑貨をアメリカのeBayで売るということも試しました。いくつか売れてこれはいけるかもと思ったのですが、面倒なクレーマーに当たってしまい、すぐに続けられなくなりました。

自分で商売を起すというのは、とても難しいことだと知りました。

営業への道

結局、自分は何ができるのかわからなくなりました。

技術職もだめ、事務職もだめ、人と関わる仕事がしたいと言っても、介護の業界では家族を養っていけない。

走馬灯のように今まであった人、心に残った言葉、こんな風になりたい・・が頭にうかびました。

それらが、ピーンと一筋に並んだときに浮かんだ言葉が「営業」でした。

今まで求人誌でも、絶対にあり得ないと思って読み飛ばしていた「営業職」の欄を徹底的に探し始めました。

未経験歓迎、好待遇、給料も努力次第で桁違い、実績の無いプータローにとっては、とても魅力的に見えたのでした。

チョコレート屋、外車ディーラー、宝石屋、パソコンショップ・・次々と面接を受けました。

今までとは違い「やる気さえあれば」ということで、過去の悪さも水に流してくれることも営業職の魅力でした。

営業職ということで、初めて「圧迫面接」というのも経験しましたが、もともと気に入らない上司にケンカを仕掛けてしまうようなタイプでしたので、ケンカ上等の対応で見事採用をいただきました。

そんなことも2社ありましたが、あなたの元では働きたくないという理由で、どちらも辞退しました。

仏具の営業だって?

そうこうしているうちに、求人誌で目に飛び込んできたのが「仏具の営業」だったのです。

営業自体が経験無いけど、何をどう売っているのかも全然わかりません。

失敗を重ねすぎて、さすがに慎重になっていました。
職安でも検索してみると、やはりその会社がでてきて、ホームページも簡単なものでしたが、なかなか興味深いです。

いけるだろうと思っていたことが、全て失敗してきた自分にとって、何も分からないと言うことは、逆に救いになっていたのかもしれません。

とうとう、その仏具店に履歴書を送りました。

「仏教」との直接的なご縁が始まったのはまさにここからです。

次の記事では、仏具の営業マンとしての経験を書きたいと思います。

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私が念珠屋になるまで・・改め その2

僕がどうやって念珠屋になったのか、その経緯を徒然書いています。
2回目になるこの記事では、社会人になった20代半ばくらいまでの話です。

学生時代のエピソードを読みたいというもの好きな方は、こちらもご覧ください。

就職活動の話

当時の就職事情

僕がずいぶん大学に長居して卒業するころ。

当時すでに「長引く不況」という言葉が当たり前のようにささやかれ、いわゆる就職氷河期と呼ばれている時代でした。

それでも、一応、国立の工業大学ということもあり、学校への求人や推薦枠も多く、就職率は100%を誇っていました。

理想の就職

給料は最低これくらい、福利厚生がしっかりしていて、ある程度安定した会社、なおかつ夢のある理念を持っている会社がいいな・・・

当時は、そんな甘えた思考で求人案内をめくっていました。

(いつかタイムマシーンが出来たら、過去に戻って、当時の自分を後ろから蹴ってやろうと思っています。蹴られた記憶はないので、タイムマシーンは僕が生きているうちには実現しません。)

ここでもへそ曲がりを発揮し、反骨精神のような変なプライドがありました。
大学のコネには頼りたくないという考えでした。

ほとんどの学生は、大学に案内がくる企業説明会や求人の中から選んでいました。
しかし、僕の場合は、求人誌で見つけた企業に、教授の推薦などを乞わず個人的に応募しました。

就職指導のようなものも、結局は「大学の名に泥を塗るな」という話に思えて、出席しませんでした。

大学受験同様、掛け持ち応募などせず、1点張りというスタイルを貫きました。

浪人と留年

浪人や留年を経験すると、社会人になるのがそれだけ遅れます。
どちらも似たようなもんだと思うかもしれませんが、実は天地ほど違います。

「浪人」は、夢を実現するために、目指した学校に入りたくてするものです。
「留年」は、何かしらの問題があり、必要単位が取得出来なかったからするものです。

やる気の無い浪人や、やむを得ない事情があっての留年もありますが、一般的にはそのように見られてしまいます。

つまり、同じ年数でも、浪人はさほど将来に響きませんが、留年をすると就職には圧倒的に不利なのです。

ある会社に応募して・・

札幌で行われた企業説明会で、とても興味を持った会社がありました。
システム開発の会社です。

履歴書にその思いを綴り、面接を受けました。

部長以上の取締役数名の面接でしたが、履歴書の年齢や入学年が他の新卒と違う事に気付き「あれ?留年してるの?」と訊かれました。
当然、想定内の質問です。

そこから長々と、自分がやってきた悪事、怠惰な学生生活を語りました。
「それでも、こんなに魅力的なオレを受け入れてくれない会社ならこっちから願い下げ」という、20代半ばにして完全に「中二病」な自分でありました。

「・・・という事なんですが、どうでしょうか?」

と、逆に問い返したところ、

「普通は留年の理由を詮索しなきゃいけないんだけど、そんなにしゃべられたら、もう聞くことないよねっ!」と、取締役一同、大笑いされたのを覚えています。

そして、めでたく採用。
素晴らしい会社だと思いました。

社会人生活スタート

社会の厳しさに出鼻をくじかれて・・

実際に入社して見ると、短期間のうちにイメージは一転。
たしかに、素晴らしいところもたくさんあったのですが、今で言う「ブラック企業」とも言える雰囲気も多くありました。

きつい環境でも、長居した大学よりは長く居てやろうと決意し、入社から丸1年たった春に釧路の彼女を札幌に呼び寄せ、結婚しました。

しかし、結婚して数ヶ月、その決意も社会人2年目であっさり心折れます。

大学2年目といえば、まだ自分のアホさにも気付いていない頃なのに、社会人とはなんて厳しいんだと思いました。

しかも、静かに辞めれば良いものを、環境改善を訴え、上司に悪態ついて、「社長室へ来なさい」と内線で呼ばれる様なこともありました。

営業へのスカウト

プログラマーという立場だったのですが、辞めると言い出してから、「色々問題はあるが、その交渉力、行動力は買う物がある。営業に移らないか?」という営業部長からのスカウトがありました。

「10年後を想像してみろ?」と部長に言われました。

「その頃、どれくらいの収入があるかわかりませんが、子どももいるのかな・・・毎晩こんな夜中まで仕事しないで、家族で夕食を囲えるようになりたいと思ってますよ」そう答えました。

「みんなそう言うんだよ!でも、現実は違うぞ。子どもだって、すぐに相手にしてくれなくなる。うちの会社でしっかり稼いで、家族にはちゃんと金渡して、自分も好きなことしたらいいんだよ!」

部長。相変わらず毎晩、夜中まで仕事をしていますが、家族と夕食は囲えるようにはなりました。
やっぱり僕は、好きなように生きています。

でも、心のどこかに、「営業か・・」という気持ちは残った出来事でした。

退職

しばらくの間、退職願は一時保留となっておりましたが、「与えられた仕事が不満なのではなく、この会社に愛想が尽きました」と、今思えば、これまたずいぶん酷いことを言って受理していただきました。

次の記事では、いよいよ、仏教との出遇いに近づくところまで書きたいと思っています。

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私が念珠屋になるまで・・改め その1

改めてご縁を振り返ってみよう

以前は、「まさかオマエが念珠屋になるなんてね」と言われていた時代がありました。
5,6年前は「どういう経緯で念珠屋になったんですか?」と聞かれることが多かったです。

最近では、すっかり念珠屋のイメージが定着したのか、とくに疑問に思われることもありません。

急に自分自身を振り返ってみたくなりました。

もちろん、ここに書いたとがご縁の全てではありませんが、今の自分に少なからず影響を与えたなと思えることを長々と綴ってみようと思います。

ご興味がある方は、以下お読みください。

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念珠屋のお仕事

お客様の疑問

長岡は普段、何をしているのか

先日、いつも僕のことをかわいがってくださる住職さんとお話しをしておりました。
より仕事が成功するように、紹介できるお寺などを考えてくださっていたのです。

普通、仏具関係の営業マンといえば、四六時中お寺に通って営業していますし、制作の職人といえば朝から晩まで、親の代から続いている仏具の制作をしています。

あまりに営業に消極的なうえ、一日中念珠を作ってばかりでもないということを話すと、衝撃の一言を言われました。

「え?じゃあ、普段何してるの?」

実はこれ、いろんな方にずいぶん言われるんです。

みなさん不思議そうなので、何をしているか、書き出してみようと思います。
うちは夫婦経営で常駐の従業員はおりませんので、基本的には夫婦どちらかがやっています。

長岡念珠店の仕事

念珠

  • 今後売るための念珠の制作
  • 注文された念珠の制作
  • 依頼された念珠の修理
  • 新作のデザインを考案
  • 相談された念珠のデザイン提案
  • 念珠の玉、紐や房等、資材の発注業務
  • 北海道産木材の買い付け、加工

ネット関係

  • ホームページ管理
  • ブログ
  • メルマガ
  • 各SNS(LINE@、フェイスブック、インスタグラム、ツイッター)
  • オンラインショップ
  • それらにまつわる、写真の撮影、テキスト制作、取材、実験等

営業、販売

  • 寺院出店
  • 一般イベント出店
  • 念珠、仏具等の納品
  • ニュースレター

経営、経理、事務

  • 売上管理
  • 顧客管理
  • 簿記
  • 各伝票作成
  • 在庫管理
  • 新商品、イベントの企画
  • 予測会議

庶務、業務

  • 備品整理
  • 在庫整理
  • 段ボール等副資材の管理
  • 梱包、発送業務
  • 道具の制作
  • 什器の制作

切りが無いのでこの辺で。

まだまだ、仏具のこと、教室関係とか、少し先の事を見据えた企画に関すること、マーケティングに関すると、たくさんの仕事があります。

それに、やりたくても手が回っていない仕事はもっとあります。

仕事って・・・

諸先輩にはすばらしい経営者がたくさんいらっしゃいます。

もし、これからビジネスを始めたいとか、始めたばかりという方が見ていましたら、悪い例として参考にしてください。
ビジネスはシンプルにやった方が良いらしいです。

でも、楽しいんです。

たとえば、効率よく完成度の高いプラモデルを無駄なく短時間で作ったらどうでしょう。
考えたり、失敗したり、キャラクターのこと、塗料のこと勉強したり、制作技術を磨いたりしながら、あーでもない、こーでもないと作るのが楽しいんだと思います。

楽しいことばかりやっていては、そんなに儲からないです。

それでも「楽しすぎて疲れた~、そろそろ休むかな~」と、遊園地の帰りに眠りに落ちるみたいに、死んで行くのも悪くないなと思っています。

それまでの間、少しでも「長岡念珠店に関われて良かった」と思えるような仕事を続けていきたいものですね。

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ペアデザインで作る数珠

オーダーメイドの念珠と言っても、様々なご要望がありますが、こんなこともできるのです。

ご夫婦でこんな念珠はいかがですか?

ペアデザインの念珠

虎目石を基調に

男女ともに道具(親玉、二天玉の三カ所)は虎目石で揃えています。

男性用には、かなり貫禄がでるサイズのたまに、羅漢(らかん)様が彫刻されています。
素材は柘植(つげ)の木で、黒く染められているものです。透かし彫りになっていますので、ゴツイ見た目の割に意外と軽く持ちやすい作りです。

女性用は相応なサイズの黒オニキスですが、通常の丸玉では男性用とのバランスが悪かったので、切子玉を使いました。

北海道産イチイの念珠

木が好きなご夫婦からのご依頼で、道産イチイのペアを仕立てました。
使い込むと将来どんな感じになるのか楽しみです。

水晶にグリーンを添えて

異素材ですが、水晶+グリーンで統一感をだしています。

男性用につかった濃い緑はアベンチュリンといいますが、かつてはインドヒスイと呼ばれていたものです。
かつてはというか、今でも、「ヒスイ」と表記しているお店が多いですが、ヒスイではありません。
実は鉱物学的には水晶の仲間になります。

女性用のグリーンアメシストは、紫色のアメシストを加熱加工して精製される素材です。

緑の玉が異素材でもどこか統一感があるのは、広い意味では同じ水晶に属する親戚のような石だからかもしれません。

超豪華!金琥珀をおそろいで

これは豪華です。男女ともに琥珀のおそろいで作りました。

といっても結構前のご注文で、もちろん当時もそれなりの価格にはなりましたが、現在(2017年)だと、当時の倍くらいの価格になってしまうと思います。

並べて見ると神々しく見えてきますね。

ソーダライトで爽やかなデザイン

男性用には主玉は縞黒檀のみかん玉です。
通常の木玉はウレタンの塗装がされていますが、こちらは一粒ずつ手作業で、天然油をすり込んでいます。

女性用は統一感をだしながらも、重くならないように本水晶で作りました。

カラフルな木玉のミックス

雑誌スロウにも掲載されている定番のデザインです。

ナチュラルな質感がお好みのカップルに人気。

ご夫婦で得度されているお二人からのご注文です。
女性用も法務で使えるように紐房で仕上げました。

道具には独山玉(どくざんぎょく)という薄緑色の石が入っており、これが木の玉によく似合います。

結婚前のカップルにはちょっと重いかも?

ペアデザインの依頼は、主に若いご夫婦、またはご結婚の記念念珠ということが多いです。

念珠の意義が廃れた現代でも、結婚前のカップルがおそろいで用意するのは、ちょっと重すぎるイベントかもしれません。

「おそろいの念珠をつくらないか?」というプロポーズで失敗しても責任は取れませんので、くれぐれも自己責任でお願いします。笑

仏教では「永遠の愛」は誓えませんが、無常の愛のなかでも、仲良くペア念珠という選択も素敵だと思いますよ。

気になった仲良しのご夫婦はぜひご相談ください。

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北海道で作る数珠

ネット時代、とても便利なもので、隣町からも本州からも同じような感覚で念珠のご相談、ご注文を承っております。

北海道の念珠屋です!


ドングリの木、ミズナラ。ナラは本州でも取れますが、北海道産のものは品質が高く、海外へ輸出していたという歴史もあります。

今更ですけど、そうなんです。

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数珠は竜巻を起こすか?

念珠の効果はあるか?

「そんなものあるわけないでしょう!」と一言で返すのはあまりに雑な対応と、最近は思っています。

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念珠愛尽きぬブログのゆくえ

近頃、Webマーケティングなどについて学ぶと、仕事として一生懸命ブログを書いている方がますます多くなっているようです。

ライバルがほとんどいない

念珠店で、ある程度ネットで検索でき、かつ、ブログをやっているところというと数えるほどしかありません。そういう意味では同業者のライバルが少ないと言っても良いでしょう。

まあ、こういう状況を「ブルーオーシャン発見!」と言うやいなや飛び込もうとする実業家がもいますが、悪いこと言いませんので、念珠業界で一稼ぎしようというのはあまりオススメしません。

誰も気づかなかったマーケットではなく、とっくに衰退したマーケットだから、同業者がいないのです

なぜ頑張るの?

では、長岡念珠店がその衰退した業界から逃げず、なぜ頑張っているいるかというと、背景に「念珠という仏教の法具を扱っている」ということがあるからです。

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