お寺の教科書

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話題の書籍、「お寺の教科書」をいただく機会があり、早速読みました。
フェイスブックをお使いの方以外でも、仏教関連の情報収集をインターネットでしている方でしたら、超宗派仏教徒のウェブサイト「彼岸寺」で、著者、松本紹圭氏の名前を聞いたことがある方も多いかもしれません。

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僕は、よくお寺で図々しい顔をしているせいか、「どちらのお寺さんですか?」と言われることがよくあります。もちろん僧侶でもなければ、住職でもないのですが、未来の住職塾のお話、非常に興味を持って読ませて頂きました。

思うところはいろいろあり、感想は断片的にはなりますが、内容的には、お寺の経営指南という面と、住職を務める方の自己啓発的な要素も含まれているかもしれません。本の中でも繰り返し断りがありますが、経営とは、=(イコール)金儲けではありません。利益を追求する一般営利団体、つまり企業においては、経営の大きな目的に利益追求が挙げられるので、我々民間人の目線で経営と聞くと、「お寺も開き直って金儲けを始めたか?」というイメージにも聞こえてしまいますが、そうではありません。今や営利をメインの目的としない病院や学校、NPO法人においても、経営スキルはとても研究されています。

現段階では「彼岸寺」、「未来の住職塾」と存在は知りながらも眉唾もので見守っている方も多いかもしれません。僕個人としては非常に可能性を感じる一方、本の内容を冷静にみると、一般企業にとってはベタな経営セミナーで目新しいことではなく、ようやくお寺も時代に追いつこうと動き始めたかという印象もあります。僕が個人的に切り口を伺っていた「地域に、また社会に開かれたお寺」ということを強く謳っており、とても共感できる部分が多く、そのようなつながりをもってお寺と仕事をしたいと考えたのですから、お寺(僕にとってはお客さん)の方から、このようなムーブメントが起きていることは非常に喜ばしいことです。おそらく、このような動きを批判的に見ている方もいるはずです。しかし、それでもいいと思うのです。批判思考が働くということは、そちら側にも何かしらの思考軸があり、動いているからこそと思います。

本の中では、様々な事例が紹介されています。お寺カフェを始めた、本堂でヨガ教室をやっている、様々なイベントの企画、ボランティアへの参加、檀家さんや地域との良好な関係、読み進めていくたびに、お付き合いのある住職さんの顔が次々と浮かびます。この本を読んだりセミナーを受講した住職さんだけでなく、すでに大きな流れの中でそのような動きはあるということです。また、それだけ良いお客さんに恵まれて仕事をしているというこに改めて気付かされた次第です。

一家ごとに世襲で墓守を継がせる檀家制度というものはほぼ崩壊しつつあるということは、お寺側も在家側も気づいていることです。むしろ「子供に迷惑かけたくない」という言葉を盾に、その縁を切ろうとしている人も少なくないように思います。お寺側では「選ばれるお寺」というのが、これからの中長期的なキーワードになりそうです。実はこれは一般庶民側にとっても大変な動きです。私達は、選ぶ立場です。今までは、いやいやでも重荷と感じながらも、仏教儀礼的には男児が親の跡を継ぐというのが通例でした。選ばずとも、実家の宗派、お寺が決まっていたのですが、いざ選ぼうと思ったら、何を基準に選びましょう。目新しいお寺カフェに惹かれてなんとなく通っていたお寺が、実は自分にはどうしても馴染めない教義の宗派という問題も出てきそうです。また、以前、無宗教主張派は当面増加傾向にありそうですので、上辺の面白い企画には賛同しても、本来の仏法を味わうというところに近づくとアレルギー反応が出ることもありそうです。前菜で腹一杯にしてメインを食べずに帰ってしまうという事態はなるべく避けたいわけです。

お寺の経営に関してはたしかに超宗派で情報交換するというのは有効だと思いますが、布教という面では各宗派の特色を打ち出して一般的にも比較検討しやすい環境が整うといいなと思っています。それは単に葬儀をどこにお願いしようかという選択ではありません。死ぬまでをどう生きようかという参考書を選ぶ行為でもあります。

「長岡が念珠を作っている」ということを機縁に、いままで考えたことなかったけど用意したほうがいいのかな・・と、相談してくれた友人は数知れません。これはよく考えたらすごいことです。全くに無関係を決め込んでいた世代が、少しでも仏教に対して、お寺に対して意識をむけたのですから。

日本の仏教界はどうなっていくんでしょうね。お寺同士を比べても情報格差が進み、ここ10~20年もしないうちに加速度的に状況が変わっていくことでしょう。お寺関係者であれば、こんな本も試しに読んでみると面白いかもしれません。

 

 

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