念珠の玉には、様々な素材があります。
代表的なものを大きくわけて、「木の玉」と「石の玉」がありますね。
その他、琥珀、珊瑚、貝、骨など、稀少で珍しいものや高級なものもありますが、割合でいうと少ないので、ここでは木と石についてお話しします。
念珠の玉には、様々な素材があります。
代表的なものを大きくわけて、「木の玉」と「石の玉」がありますね。
その他、琥珀、珊瑚、貝、骨など、稀少で珍しいものや高級なものもありますが、割合でいうと少ないので、ここでは木と石についてお話しします。
念珠をお求めの際に、皆さんが心配になることだと思います。
念珠売り場ではたくさんの天然石、木材、珍しい木の実などがならび、宝石の世界でも昔からある話ですが、はたして、本物だろうか?という心配です。
ご年配のおじさんが良くいう台詞ですが「安物はダメだ」というのがあります。つまり、ある程度の値段をのものを買った方が、失敗が少ないと言う意味だと思います。
これは、半分正解ですが、もう半分は危険もはらんでいて、その心理を利用して、粗悪品や偽物でも、高くすると逆に売りやすいという心無い商売をしている輩もいるのは確かです。
「おたくの念珠の玉は本物だろうね?」ということも、たまに聞かれますが、これは実に難しい質問です。
なぜなら、今や「本物」の定義が実に曖昧になっているからです。
たとえば昔は、本物の水晶、そしてそれの模造品として、たとえば質の悪いガラス玉、もっと安価な物になると、透明のプラスチック。
ですから、「本物」といえば、いちばん高価で見た目も美しい水晶かどうかということが問われたわけです。
近年の場合。
同じく水晶を例に挙げると、天然の本水晶(上等なもの~ランクの低いもの)、結晶を人工精製された本物の水晶、溶錬水晶(という名の綺麗なガラス)、上ハリ(という名の綺麗なガラス)、普通のガラス玉等いろいろ有るわけです。
人工精製された本物の水晶となると、言うなれば養殖みたいなもので、鑑定しても水晶です。天然と養殖の鯛みたいなもので、養殖が偽物というわけでもありません。
何も知らずに溶錬水晶と聞いて「水晶ですよ!」と販売している業者も多く、それは論外だとは思います。 いずれにしてもガラスは偽物の水晶だろう?と聞かれたら、その通りです。しかし、ブラジル産になると、天然水晶だからと言ってもランクの低いものはガラスよりも安いというのが現実で、見た目にも、上質なガラスの方が見栄えがいいということもあります。
ですから、水晶だと騙されたならガラスは偽物ですが、ガラスの念珠を買うという理解の上なら、悪い選択じゃない場合もあります。実は、僧侶向けの装束念珠では、「上ハリ」の名前で、水晶のものよりも、質の良いガラス念珠の方がたくさん流通しています。
ただ、実用的にはとことん使い込んでも美しさを保つのはやはり水晶で、ガラスは硬度低い分、細かい傷で曇ってきます。
エハンスメント、トリートメントなどの専門用語がありますが、要するに色味を揃えたり、発色を良くより美しく見せるような処理をすることです。
素材は正真正銘本物でも、原石を掘って削っただけというものはほぼなく、何かしらの処理がされている事がほとんどです。
これによって、自然界では極めて稀少な(または存在しない)ものが、人工的に加熱したり、放射線を照射して作れてしまうのです。
どこまでが本物かというのは、宝石屋さんの言い分があるかと思いますが、ここでは割愛します。当店では、必要に応じて「手が加えられています」という説明はしています。
加熱や放射線だけでなく染料で元の石の色を変えてしまっているものもあります。
たとえば最近は、「○○ジェード」と呼ばれるカラフルな石が沢山出回っておりますが、もちろんジェード(翡翠)の一種ではなく、クォーツァイトであることが多いです。クォーツァイトとは水晶が砂状になって再結合したもので、染料が綺麗に入るので処理しやすいのだそうです。
中には、本当に品質が悪く、ただ単にインクに漬けたようなもの玉もあり、こうなると、手の汗でインクが滲んできたりと、酷いことになります。当然ですが、ここまで来ると当店の商品には使っていません。
メノウの仲間も、結晶構造上、染色しやすいので、色のバリエーションが多いです。
染色については、他の処理同様、どこまでが本物かと定義するのは難しいです。これも、製造工程がしっかりしていて、実用的な耐久性を備えているもので有れば、問題無いかと思います。
黒檀、紫檀、鉄刀木(タガヤサン)等の一般的な唐木(からき)と呼ばれているものをはじめ、生命樹、その他国産の木などいろいろあります。
これらも、完全なる素挽き(削りっぱなしで完成)というのは、手間も材料コストもかかる上、色味を揃えるのが難しかったり、ある程度予算的な妥協があれば見栄えがしないので、かなりマニア好みの選択になります。ですから、ある程度の上塗りがされていることの方が普通です。
木材は手の脂を吸いますので、よく触るほどに色が濃く、つやが出てきます。しかし、それと同時に上塗りの仕上げ剤が落ちてきますので、種類によってはいったん色が明るくなるものもあります。
その変化も、「味」として楽しめる方もいれば「劣化」に感じてしまう方もいます。「色が剥げたので、偽物だったのかしら?」ということもたまに聞かれますが、手の脂が少ないご年配の方が、頻繁に使い倒せば、手の脂を吸い込むよりも、上塗りが落ちる方が気になるということは十分にありえます。
一般に唐木は、建材の世界では高級品ですが、念珠になるとちいさな端材も使えるほか、木材の質を上塗りなどの加工技術でカバー出来る部分もあり、ずいぶん安く流通しています。定番になるほど、大量生産されているため、価格崩壊していると言うこともあると思います。
「本物の黒檀がこんなに安いわけないだろ?」と言われたこともありますが、それらのような様々な理由で、念珠の場合、それほど高くはなりません。
代表的なところで、菩提樹の実というのが、あります。
お経の中では「菩提子」と書かれています。
「本物の菩提樹」となると、これまた難しい質問で、過去の記事にもしていますので、ご興味があればご覧ください。
○○菩提樹と呼ばれる素材はたくさんあり、それぞれまったく別な植物になります。
また、原実のまま、丸く加工したもの、色を漂白したものなどいろいろ有りまして、これも、なるべく手を加えない方が好きという方がいますし、高度に加工されたものは本物ではないということもありません。
その他、琥珀やサンゴなどになると、もっと面倒な事情が絡んできますが、これも気になる方は、過去の記事を検索してみてください。
本物かどうか?というのは、今はとても難しい質問です。
ひとつは、公称通りの素材かということ。
表示と違うなんて、そんなこと許されるの?と思われるかもしれませんが、念珠の世界では未だにありますし、そもそも騙す気がなくても、通称名がすでに誤解を招く表現になっている場合も多いです。
そこに関しては、できる限りの情報(鉱物的なデータなど)を収集し、皆様にどういうものかお伝え出来ればと思っています。
もう一つは、実用に耐えうるかということ。
いくら綺麗でも、どんなに珍しい素材でも、実用的な強度がない物は排除していきたいと思っています。極端に割れやすいとか、色移りするような粗悪な染色。
ただ、使い方によっては、経年劣化が早い事もありますのでグレーなものもありますが、そこは検証しながら将来も考えて行きたいと思っています。
改めて、本物かどうか?について極論で考えますと、天然手つかずの素材か?という意味で質問された場合には、そういったものは、ほぼありませんと答えます。
それぞれの素材について詳しく知りたいお客様の場合は、知りうる限りの情報を提供しています。
人工石や染色したものはどうなんですか?ということになりますと、安心して永年つかえるものであれば、まったく問題無いのではないでしょう、というのが、当店の結論になります。
立場によっては認めたくないというかたもいるかもしれませんが、仏教法具としては、天然素材かどうかというこだわりにはあまり意味を感じません。
また、「天然の未加工に近い素材」が「良い素材」とは限らないということも、重ねてお伝えしておきます。天然の粗悪品もあれば、人工の良品もあるといういことです。
当店ではそのように考えて、念珠の素材仕入を考えています。
「水晶だって思っていたのに、水晶じゃないの?」
「ヒスイって書いて売ってたのに、翡翠じゃないなんて・・」ということは、実によくあるはなしです。
過去に高い値段で買ってしまったというのであれば、確かにショックかもしれませんが、頂きものであったり、先代から譲り受けたものということになれば、素材自体がどうこうという以上の価値がそこにはあります。
そういった、「私と数珠との関係」における価値というのは、素材の真偽に振り回されることはありません。
「高いモノじゃないのはわかってますが、私にとっては本当に大切なモノなんです」とお聞きして、修理を承ることも多いです。これこそが、大切な心の持ち様だと思いますし、逆に、そんなことにはとらわれませんというのも、また仏教らしいあり方ですね。
ご購入の際、気になることがあれば、知り得る限りの情報提供はしますので、お気軽にお問合せください。
実はこれ、非常に多い合わせです。
お母さんからもらったけど、使うことなく長年しまいっぱなし・・
「そうだ、念珠にすれば、使えるかも・・!」というパターンです。
結論からいいますと、おすすめしません。
近頃、Webマーケティングなどについて学ぶと、仕事として一生懸命ブログを書いている方がますます多くなっているようです。
念珠店で、ある程度ネットで検索でき、かつ、ブログをやっているところというと数えるほどしかありません。そういう意味では同業者のライバルが少ないと言っても良いでしょう。
まあ、こういう状況を「ブルーオーシャン発見!」と言うやいなや飛び込もうとする実業家がもいますが、悪いこと言いませんので、念珠業界で一稼ぎしようというのはあまりオススメしません。
誰も気づかなかったマーケットではなく、とっくに衰退したマーケットだから、同業者がいないのです
では、長岡念珠店がその衰退した業界から逃げず、なぜ頑張っているいるかというと、背景に「念珠という仏教の法具を扱っている」ということがあるからです。
※(当ブログでは、念珠=数珠として書いています。文脈上の理由などから混在することがありますが、ご了承ください)
前投稿でも書いたように、せっかく手に入れた天然石ビーズなのに、穴が小さくて困ったという方は多いかと思います。
大前提ですが、実際にお試しの場合は自己責任でお願いします。
思わぬ事故や石が破損する可能性があります。
さて、今回はラピスラズリで実際に加工しながら説明したいと思います。
日ごろから商品写真というのは非常に露出が多いにもかかわらず、あまり褒めてもらえないので、自分から言います。笑
うちの念珠の商品写真はすべて僕が自前で撮影したもので、オンラインショップ、リーフレット、名刺、チラシ等、インスタグラムからツイッターフェイスブックにシェアしているもの、100%オリジナル撮り下ろしです。
ちょっとカメラを知っている人であれば大したものではありませんが、DIYの備え付け照明がセットされたブースが、必要なときにいつでも広げられるようになっています。
念珠が好きで見ていただいてる皆さんにはまったく興味のない情報だと思いますが、カメラオタクが居るかもしれないことを願って、いちおう撮影データを記しておきます。
model:単念珠 本水晶共仕立 正絹頭房 灰桜
Canon EOS 7D
sigma 17-50mm f2.8 ex dc hsm
F/8, 1/100, ISO-800, 50mm
モデルさんにはポージングがありますが、念珠はどういう角度から、どういうアングルので撮るのがいいのでしょうか。以前はすべて同じ角度で撮影してカタログ化することを考えたのですが、うまくいきませんでした。素材によって、房の形によって、微妙にイケてる角度が違うわけです。しかも、天然石のシラー効果など、同じ素材でも同じ角度で撮影しても、魅力が伝わらないこともあります。
モデルさんでも全身あおって撮ると栄える人もいれば、サイドショットが美しい顔立ちだったり、瞳のアップが撮りたくなる場合などいろいろだと思います。
それで、統一感はまったくなくなってしまいますが、念珠を撮影するときには、もっと自由に直感で良いなって思えるアングルで狙うようにしています。
商品写真では、ディテールをしっかり写すというのがセオリーなんでしょうけど、「一番かわいい角度を知ってる」的な写真が悪いとも思えないのです。
そんな想いで、いつも念珠を撮影しているのでした。
実は、少し前の写真が今見ると気に入らないのです。
今夜は、たくさん撮るぞ~。
ブレス念珠作り教室が、おかげ様で無事終了しました。
前回は制作重視で目いっぱいの時間を使ったのですが、今回のブレス念珠は制作自体にさほど時間がかからないので、少々念珠についてのお話をさせていただきました。
会議風にプロジェクターをセッティング。
そもそも念珠とはどういうものか、パワーストーンとの違い、長岡念珠店が考える念珠の未来についてを早足にはなりましたが、10分ほどお話ししました。
皆さん神妙な表情で聞いていただき、早く作りたいと気持ちがはやる中、余計なお世話だったかしらと心配になりました。それでも、事後のアンケートではお話も良かったという評価をいただきホッとしています。(社交辞令もあるかもしれませんが・・苦笑)
仏教用語なんかは、読みずらいことが多いので、ルビを振るなどもうちょっと配慮があってもよさそうですね。まだまだ改良の余地はありそうです。
カラフルな天然石や、唐木の玉をたくさん用意しました。
天然と言っても、原石を削り出したままというのは現在はほとんど流通していませんので、念珠に使われるような玉はある程度の手が加えられて発色を良くしたり、色見を揃えたりしてある素材です。
なかには粗悪なものになると、後からインクを染み込ませて染色しているものもあり、腕輪にすると色落ちして肌や袖につくことがありますので、そういったものは含まれていません。ご自身で素材を求められる時にはご注意ください。
サンプルを試着したらそれぞれのサイズをきめて、必要な個数の玉を集めます。
じつは、この作業が、制作自体よりも時間がかかるところです。また、一番楽しいところでもあります。
それぞれの想いで、配列を考えたり、色を比べたりしながら選んでらっしゃいました。最初のお話でも少し触れましたが、この選び方自体は自分なりにどんな理由を付けても良いと思います。こんなところを入り口に、少しでも仏教やお寺に興味を持っていただき、身近に感じていただけるようになれば嬉しく思っています。
規則正しい配列を考えると自分のサイズを合わせるのが意外と難しいものです。
シリコンゴムを通す作業です。ちょっと知っていれば簡単な作業ですし、材料のゴムも高いものではないので、日常的に身に付けているかたは是非習得して自分で直せるようになるといいですね。
ワイワイと素材を選んでいた時とは一転して、集中モードにはいりました。笑
写経や瞑想などのように集中することでリラクゼーションを得るということは、脳科学の先生のお話でも聞いたことがあります。こうやって黙々と玉を通す作業も同じような効果があるのかなという気がしています。
「お友達を誘いたい」という声が多く、なかなか場所と時間のご都合を合わせていくのが難しいのですが、大変うれしいお申し出です。一度に、すべての方に合わせるのは難しいのですが、たくさんの方とご縁が結べるよう、今後も続けていきたいと思っています。
次回は是非と思っている方は、ブログやフェイスブック等、チェックしてくださいね。
グループで何人かあつまるのではあれば、出張開催も可能です。お気軽にご相談ください。
んー、次の教室は二輪念珠を作ろうかしら・・・
『好みの天然石で、ブレス念珠作りに挑戦!』
気軽に身につけることができるブレスレットタイプの腕輪
天然石等の材料もできる限りの種類を用意しますので、お
自分で修理ができるようになりたい方も是非、ご参加くだ
制作とあわせて、少しの時間ですが念珠の豆知識講座もあ
【日時】
平成29年4月2日(日)
1回目 13:30~14:45
2回目 15:15~16:30
【場所】
札幌市厚別区民センター 小会議室
地下鉄「新さっぽろ駅」出口②番
札幌市厚別区厚別中央1条5丁目3-14
【参加費】
2000円(税込)材料代を含む(お好きな天然石や木玉
【定員】各20名、合計40名(申し込み多数の場合、先
【申し込み】
材料を用意する都合がありますので、事前にお申し込みく
SNSメッセージ、メール、電話等でかまいませ
長岡念珠店
Tel/Fax:011-389-6772
携帯:090-1305-4148
shop@nagaokanenju.com
一年ほど前に思い付きで作ってみたら、思いのほか評判が良かった、木玉ミックスの念珠です。
黒檀、紫檀、生命樹、シャム柿、鉄刀木、桑、本梅、栴檀・・いろんな木を不規則に通しています。
完成品の在庫はなかったのですが、リーフレットの写真を見てご注文いただき、久しぶりに制作しました。このたびは、腕輪とセットのご注文でした。
念珠は、色をそろえるということで一つのプレミアがつきます。例えば、同じ天然石であっても、同じ色見のものをそろえることが一つのステータスでもあります。しかし、このようにバラバラをあえて楽しむというのは、何とも粋で面白い発想だと思います。
この念珠は仏教的にも想像が広がります。皆さまならどんなストーリーが浮かんできますか。
阿弥陀経を読むご宗旨でしたら「倶会一処」という言葉が思い浮かぶかもしれません。それぞれの美しさを見て、「青色青光 黄色黄光 赤色・・・」の一説かもしれません。お釈迦さま誕生の伝説としてあまりにも有名な「天上天下唯我独尊」という言葉も浮かんできます。それぞれ違う顔をしていながら一本糸の志が通じているサンガにも見えてきます。
デザイン性が強いですが、木玉の材料は比較的安価ですので、お手頃価格です。作り置きはしていないことが多いのですが、ご興味ある方は是非、お問い合わせください。
このところ尋常じゃないバックオーダーを抱えてしまい、必死にこなす毎日です。
そんななか今日は、たぶん他所ではあまり作っていないニッチなジャンル、女性僧侶につかっていただきたい念珠を作っていました。
紐房の単念珠ということで、主に浄土真宗向けです。
一般向けの房や素材は年々凝ったものが考案され、特に女性向けは個性的なものから可愛らしいものまで種類が豊富にあります。
しかし、紐房のものとなると、なかなか可愛らしいものは作られていないのが現状です。
玉はルチルクォーツです。ルチルはランクによって印象が全然違いますが、手に入る中では最高ランクのものを使っており、金線がたっぷり入っています。金線に合わせたカラシ色と、女性に一番人気の灰桜色の紐を合わせています。
せっかくの高級素材ですので、釈迦結びも入れてみました。
とてもラグジュアリーな雰囲気に仕上がっています。
僧侶向けと書きましたが、もちろん一般の方も、お使いいただけます。
じつは、仕立ても通常通りではうまくいかず、見えない工夫がしてあります。スリムな印象を壊さないよう、実用的にも切れずらく、糸の処理まで独自に考案した仕立て方をしております。
小回りの利く小さな商売の特性を生かして、こういう路線に力を入れていっても面白いなと思っています。