お粥を炊く

お粥って、どんなイメージでしょうか。
僕は、固めのごはんが好みで、小さいころは、総入れ歯の祖父のために炊く柔らかいご飯すらいい気分ではありませんでした。自分でも胃が丈夫ではなかったため、風邪気味だと合わせて胃の調子を悪くすることも多く、そんなときに好きでもないお粥にされるのは、余計に気分がダウンした記憶があります。

精進料理をいろいろ調べていると、ついつい「おかず」の方に目が行きがちですが、現代医学風に糖質、脂質、炭水化物のバランスを考えても、やはり主食もないがしろにはできないわけです。

典座和尚として有名な高梨 尚之師の精進料理のレシピ本は以前から拝読させていただいておりましたが、お粥だけというものが出されていたので、こちらも先日購入しました。半分は精進粥、後半は横浜中華街シェフによる中華粥という内容になっています。

ほん

掲載レシピの充実はもちろんですが、読みもとしても面白く、改めて、お粥の炊き方を甘く見ていたなというのが、一番の感想です。禅宗の精進料理というと、手間もすべて修行という厳しいイメージがあり、確かにそういうことも書いてあるのですが、ちょっとした手抜きのやさしさというか、それでもできる範囲で精進料理に親しんでくださいという温かい心遣いが随所に感じられます。

手始めに、何も入らない白粥を本の通りにまじめに炊いてみたところ、なんておいしいことか。米をといでから浸水、炊き上げ、蒸らし、と小一時間かかります。

「人を待たせてもお粥待たすな」という言葉があるそうで、食べきる分だけ食べる時間に炊くというのが基本なんだそうです。「タイマーセットの炊飯器で多めに炊いて、お昼はチンしましょう」が当たり前になってる現代人にとって、まじめにお粥に向き合うのは、それだけで結構な意識改革になります。

夕べは、サツマイモの天ぷらにしたのですが、少し残しておいて、今日は芋粥を炊いてみました。

芋粥

サツマイモは、炊く前に10分ほど水を数回変えながらアク抜きをします。
どのタイミングで入れるかは芋の大きさ次第。写真くらい(2センチ角くらい)で、炊き始めから入れてちょうどよかったです。煮崩れるようならもう少し遅く。芋が入ると、炊くときに塩を少々いれると良いみたいで、器に盛ってから半擦りにした黒ゴマを振ると風味もいいです。精進料理ではよくゴマは擦って使いますね。貴重な栄養素をしっかりとるための工夫なんでしょう。
我が家の「ゴマ擦り隊長」である4歳の次男に擦ってもらったところ、少々擦りすぎましたが、それも愛嬌。

「粥有十利(しゅうゆうじり)」という、今どきのプレゼン風にいえば、「お粥を食べるべき10の理由」とでも言いましょうか。昔からお粥のメリットを謳った言葉があります。興味がある方はググるとすぐ出てきますので、ご興味ある方は調べてみるといいでしょう。確かに、体にはいいことだらけという実感はあります。しかし、よくテレビなんかでありがちな、○○を食べると体に良いということだけでなく、たかがお粥されどお粥にまじめに向き合ってこそ、精進料理としての醍醐味があるでしょうね。

本のレシピを参考にしながら、地元で採れるの食材、庭で採れる野菜など、楽しみながらお粥についてもいろいろ研究してみたいと思っています。