お好みに合わせたお焼香で

お香

今朝は早くから、お香の調合をしています。
総量にして5kgという大量の焼香のご注文です。

仏事作法とは別物として、香道という世界があります。
お香もいろんな楽しみ方がありますが、その中でも「空薫(そらだき)」という方法が、いわゆる仏事の焼香ににていて、香炉の上で炭を焚き、その上に刻んだお香をのせて香りを楽しみます。

空薫で重要なのは煙を出すことではありません。「お香」というくらいですが、香りを楽しむことが大事です。
そのために、本来ならば炭の赤いところにに直接お香をくべるということはせずに、炭を半分灰に埋め、熱くなった灰でお香を遠火で温めるというのが、良い方法です。

仏事においても、仏様を燻しているわけではなく、あくまで良い「香り」をお供えしているのですから、本来ならばそうすべきだと個人的には考えています。しかし、お葬式や法事などで一般の人が順次焼香する際に、そんなことはできません。回数は?合掌はいつするの?礼拝はするの?と、作法の順番ばかり気になって、お香を上手に焚こうというところまで周知するのは難しいでしょう。どうしても、ガバガバと炭の上にお香を盛っていくような形になり、きつく焦げた臭い、黙々と立ち込める煙ということになってします。
話が脱線しますが、炭の代わりに線香を何本か束ねて火をつけ、その上にさらに焼香を振りまくというのは、ぜひやめて頂きたいです。
定着してしまった地域ではそれが正しい方法と勘違いしている方もいますが、焼香の際は、かならず焼香炭を用意してください。炭は小さい箱で数百円で買えるもので高いものではありません。

そこで、煙や香りが出ずらいお香の量を増やし、いくつかサンプルを試していただき、香りと煙のちょうど良いと指示していただいた割合で調合しています。

ここで注意したいのは、「煙の少ない線香」は近年、ずいぶん種類が増えましたが、質の悪いものは化学物質が多く、のどの調子が悪くなった等のお話をよく聞きます。(実際にどのメーカーが何を使っているか、調査・検証したわけではありません)
当店では、お香のほとんどは、京都の老舗「松栄堂」の製品を使っています。こちらは決して安いお香ではありませんが、品質、香りの良さ、安心できる材料ということで、おすすめしています。

お香は、大袋でも数百円のものから、一つまみ数万円のものまで、本当に幅広いです。種類も限りなくあります。
「煙さえ出ればいい」ということではなく、たくさんのお香のなかから良い香りを見つけていくことは、楽しいことであり、「香りのお供え」としても、意義深いことだと思います。