グリーンアンバーの振分念珠

個人のお客様より、グリーンアンバー(緑琥珀)振分念珠のご注文をいただきました。
とても高価なため、さすがに通常在庫はしておらず、受注生産になります。
現在手に入る中では、通常の飴色の琥珀、老琥珀、グリーンアンバーだったのですが、中でも一番高価なグリーンアンバーを選んでいただきました。
グリーンと言っても、エメラルドのような色をしているわけではなく、緑がかった黄色という方が正確でしょうか。
ほとんどの宝石は華美な色ほどもてはやされますが、それは違う雰囲気で、とても素朴で落ち着く色です。

材料です。今回お仕立てしたのは、通称「八寸振分(ふりわけ)」または、八宗用とも呼ばれており、特定の宗派の形ではなく、女性用の一般的な形として浸透している形です。八寸というのはサイズで、広げたとき時に親玉(母珠とも)~親玉の距離が八寸(約24センチ)になるという意味です。
このように色味を揃えたもの1連分の材料を、仮糸に通した状態で用意してあります。
なんと大手の材料問屋でも、1連分しか在庫がありませんでした。なので、今ほしいと言っても、全国的にそう簡単には手に入らない状態です。

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まずは足の部分から作っていきます。振分数珠は、浄名玉(浄妙、浄明と書く場合も)がある方が表になりますので、写真は裏側の足になります、この下にさらに絹糸を編み込んで房を付けていきます。
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両方の足ができたら、それらを途中に噛ませながら108の主玉と親玉、四天玉を通していきます。
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完成です。
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房の色はお客様も迷われた結果、白をオススメしました。
料理のお皿と一緒で、やさしい琥珀の色も一番引き立ててくれるのは白です。
「汚れるから」と敬遠されることが多い白ですが、毎日お勤めされるお坊さんなどとと違い、一般の方は実際に汚れる環境で使うものではありません。長いスパンで見れば確かに色褪せや汚れはありますが、それは他の色でも同じで、気になるほどになったら、取り換え替え時です。長期的に見れば房や紐は消耗品ですので。

最近、うちの作り置き商品でもほとんどこの房にしていますが、「松風房」といって、従来のものよりヨリが細く長めにできているためとてもしなやかに揺れてエレガントなのです。

お送りしようかと思っていましたが、ぜひ直接受け取りたいという希望で、再度江別までお越しいただきました。
思い切って選んでいただいたグリーンアンバーの念珠。
大変よろこんでいただけけました。

こんな時、本当にものつくり冥利に尽きると感じます。