ネットでもできる「数珠の相談」

※(当ブログでは、念珠=数珠として書いています。文脈上の理由などから混在することがありますが、ご了承ください)

おかげさまで最近は、本州からのご注文、修理のご依頼も増えています。
先日は、埼玉県よりご相談のメールをいただきました。

たくさんのメールと20枚以上の画像

本当は対面で、材料を手に取ってご覧いただけると話は早いのですが、遠方で必ずしもそれが実現しない場合があります。

今回のご相談では、メールを通信手段としました。
毎回数枚の画像を送りながら、何度もメールを交換しながらご要望を絞り込んでいきました。

この作業は、「販売」というより「問診」という方が適切かもしれません。
お客様の方が面倒になってしまうことも当然あるわけで、最後までお付き合いいただいたことには、感謝せざるを得ません。

ネット上では、情報が錯綜(さくそう)しています

例えば食料品ならスーパーへ、日用品ならホームセンターへ買い物に行きます。
ところが「数珠が必要」と思ったときに、どちらで買えばいいかわからないという方は多いかもしれません。

この時代ですから、わかないことであれば、まずはスマホなりパソコンなりでネット検索をすると思います。

ところが、値段もピンキリ、形もいろいろ、どうやって選んだら良いのかわかりません。その上、ネット上には、それぞれ自分なりの解釈がさも正式な回答かのように語られていることが多く、よくよく調べている方ほど、正解がわからなくなってしまうことが多いです。

オンラインショッピングは大変便利ではありますが、対面販売のように相談しながら買うことはできません。


合わせる紐(ひも)の色だけでも、迷ってしまいますね。

相談できるオンラインショップ

これが出来るのが、長岡念珠店の最大の強みだと自負しています。

かつては商店街や市場で当たり前だった、対面販売の時代は終わりつつあります。
あらゆる契約がネット上で完結します。店頭でも一言も会話せずに、支払を済ませて商品を購入できる方が普通になってきました。

店先で店主に話しかける感覚で、問合せの電話やメールをいただけることは大変嬉しく思っています。

今後は、LINEやフェイスブックなどのSNSを使い、チャットや音声通話でさらにリアルタイムな対応もしていけないだろうかと言うことも考えています。

お客様の声

ネットでお店や商品を検索するときには、「レビュー」や「クチコミ」を参考にされるのではないでしょうか。業者側としても「お客様の声」というのはとても貴重な財産です。

実は、当店でも非常にたくさんの「お客様の声」が寄せられています。ただし、ネット投稿ではありません。翌年のお寺の法要でお目にかかると、「いやぁ、去年買った念珠がとっても良くてねぇ」なんて声をかけていただいたり、修理した念珠を送ると「こんなにきれいになると思いませんでした!」と、わざわざ電話をいただいたりします。

「ずっと気になっていた母が遺(のこ)した念珠が、これでやっと使えます」とハガキをいただくこともあります。

せっかくの貴重なメッセージを上手く活用しきれていませんが、次の仕事へ向けて、日々の活力になっていることは言うまでもありません。

まるでジュエリーを買った時のように心がウキウキして、うっとり眺めています。

本日は、こんな嬉しいメールが届きました。
メール交換でじっくり選んでいただいた、埼玉県のお客様からです。

ナカナカ上手く出来ました!(画像を添付します)

と、送ってくださった写真がこちら。
お好みの生地をさがして、念珠入れを作られたのですね。

それぞれの玉の色にも良く似合っていますし、なにより縫製の完成度が高く、このままうちの売り物にしたいくらいです。

電話にメールに・・

今日もバタバタと数件のご相談をこなしながらの作業でした。

僕のことを「念珠職人」と呼ぶ人がいますが、自分ではあまり職人という意識はありません。顔も上げずにコツコツと念珠作りを続けているわけではないですからね。もちろんそういう時間もありますが。

強いて言うなら「念珠ソムリエ」

お好みやご予算、在庫状況によって制作可能かどうか、在庫がなければ入手可能かどうか、宗派や地域、時には家族の事情などもお聞きし、ご要望の奥にある本当に解決したい問題はなにか、そんなことを考えながら念珠を選ぶということ考えると、「ソムリエ」という言葉がぴったりかと思っています。

念珠を購入するというのは、よほどのご縁がもよおしてのことかと思います。
いつも通りの日常生活を送る中で「そうだ、念珠を買おう!」と、「京都に行こう!」みたいに思いつくはずがありません。

そのご縁を摘み取ることなく、完成した念珠を手に取ったときに、「相談して良かった」と思えるようでありたいものです。

購入や修理依頼に直接関係ないご質問もたくさんいただきます。商売人としては上手な方法ではないかもしれませんが、こうしてたくさんのコミュニケーションをとることで、市場全体のレベルが少しでも上がって、良い念珠を大切に使ってくださる方が増えるといいなという願いを込めて続けていこうと思っています。