くしゃくしゃになった念珠の房

念珠はどのように保管されているでしょうか。
理想的には、箱に入れるか吊下げるかして、日の当たらないところだといいのですが、前回の法事の後、念珠袋などにいれてそのままにしていませんか?

いざ、次に使おうと思って出した時には、ちょっと恥ずかしいほど房がくしゃくしゃということはないでしょうか?僕は職業柄、みなさんがどんな念珠を持っているか気になってしまいますが、けっこうそのまま使ってる方が多いですね。

一般の方もそうですが、ここだけの話、実はお坊さんでもアルアルなんです。

装束なおし前

これは装束用、つまり普段用ではなく、大きな袈裟を掛けた時に使う僧侶用の念珠の房です。修理でお預かりすると、このように癖がついてくしゃくしゃになっていることがほとんどです。

こうなってしまった場合は、ヤカン等でお湯を沸かし、蒸気を当てながら振ってやるときれいに伸びていきます。しっかり折り目がついて伸びきらないところは、少しテンションを掛けて蒸気を当てるとさらに伸びます。これは、紐房でも有効で、新品のようにシャキっと伸びます。スチームアイロンですね。

輪の部分が切れても、房はまだまだ使えるという場合もあります。
そういう時は、ちょっとしたサービスですが、このようにきれいに伸ばしてお返しするようにしています。

装束なおし後

前の写真と同じものです。どうです、見違えたでしょう?
ご自身で試してみたい方は、何点か注意してください。
房が濡れるほど蒸気をあててはいけないことと、折れ目が伸びないからと温度が高くなりすぎないように加減してください。一般に100度程度なら絹は大丈夫と言われていますが、なるべく手短にやるようにしてください。人絹房でも手触りはゴワつきますが、正絹と同じように直すことができます。
最後に、くれぐれも火傷にはご注意ください。