近頃、念珠屋さんは・・・

今シーズンはおかしな冬でしたね。
それぞれの地域で異常気象が続きましたが、江別に関していえば、例年に比べて驚くほど雪が降らない冬でした。去年も拍子抜けでしたが、今冬はそれ以上。

まあしかし、何をもって「普通」とするかという問題もあって、天気なんてのはまさに止まることなく移り変わる無常そのもの。人間の知っている短いスパンで「常」を決めつけて都合の悪い時は「異常」といったところで、何か良くなるわけでもありません。

さて、近頃はどんな仕事をしているかというと、ご注文、修理依頼いただいた念珠をせっせと仕立て作業する傍ら、吹雪の合間を縫ってお寺の本堂の仏具の相談などを受けております。そして、急ぐ作業を処理しては、ネットショップの更新作業の続きに戻るという感じです。

単念珠_紐-127

ホームページを作ってくれるような業者が、時折営業にきますが、実は全部自前なんです。そう言うととても驚かれます。ホームページ本体も、ネットショップのデザインやシステムを考えたり、バナーやロゴ、商品写真の撮影から、とにかくあらゆることです。だからものすごく時間と手間がかかります。しかし、驚くほど費用は掛かりません。自分一人の作業時間、勉強時間、研究時間という思考錯誤の手間だけです。ビジネスではアウトソージングが主流で、自分でも上手なやり方だとは思いませんけどね。しかし、人とお金を回す商売と違い、売り上げ目標や資金繰りに振り回されることなく大らかに仕事ができるのです。

仏教に三悪趣という言葉がありますが、ビジネスで負のスパイラルに落ちると、まさに地獄・餓鬼・畜生に落ちていく姿を自分でも過去に経験しました。そこから這い上がっても修羅というのは、本当によくできてる話です。せめて人間の苦を全うしようと思ったら、いつの間にか今のようなライフスタイルになりました。今後どうなっていくのはわかりません。

まじめな念珠や仏具を売っているつもりです。業界の話をすれば愚痴にしかなりませんが、正直者が馬鹿を見る時代になってきました。でも、それはお金に執着すればの話です。頼ってくれた方を裏切らないように精一杯、それ以上にも以下にもできないですね。

念珠のようなお道具は、ともすると道楽になってしまいます。高級なもの、珍しいもの、たしかに楽しいですが、念珠屋としてそれを推進したいわけではありません。ご自分で作りたいという方が少なからずいます。そこで、またさらに手間を増やしてしまいますが、細かい部品の販売をやってみることにしました。

道具イメージ

どこまで手を回せるかわかりませんが、これも一つのチャレンジです。
さらに、他にも新しい試みをいくつか検討中です。現在のネットショップは、商品棚が埋まらない中途半端な毎日少しずつ準備進んでいる状態で開いています。まずは、ある程度のものを並べて、早いところグランドオープンとしたいところなのですが・・・。

「こだわりたい」けど「とらわれない」、というのが自分の中の近頃のテーマ。
「調子はどう?」と聞かれたら、「おかげさまでボチボチですね」と。
「あれ?なんか雰囲気変わった?」と聞かれたら、「鋭いですね。髪の毛が3mmカットから2mmにしました。」と。
世の中、こだわってみたところで、意外とどうでもいいことばかりですね。