塗って、研いで、塗って、研いで・・・・

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以前、このブログでもご紹介して、地道に作業を続けていた仏具の修復ができました。
上下の框(かまち)、天板、側面を造作して、工芸漆(うるし)を塗り磨き込みました。
この工芸漆と言うのは、本漆ではなく人工原料でつくられた、漆風の樹脂塗料です。
基本的には漆と同じような扱いですが、乾燥の原理は違うので、湿気を出す必要はなく、一晩程度の乾燥で、重ね塗り、研ぎ出しもすることができます。

代用漆といえば、よく知れたのは「カシュー漆」で、こちらはカシューナッツの油から取り出した天然塗料です。漆の器にしても、仏壇仏具にしても、特別な表記なく「漆」とかいてあると、だまってカシューを使っていることもあります。その場合、本物の漆は「本漆」と区別してあることが多いです。1950年以来、代用漆=カシューという時代が長らく続きましたが、現在は、ほかにもさまざまな代用漆が使われています。漆塗職人の事を塗師(ぬし)といいますが、最近は塗師さんもカシュー以外の新しい代用漆を扱う方もでてきました。
本漆は1000年以上の歴史があります。カシューは60年。その期間耐え抜いたという実績です。そのた新しい代用漆は、これから100年後、200年後、どのような劣化、硬化がみられるのか、計算上の理論値だけでは答えはわかりません。それぞれにメリット、デメリットがありますので、ケースに応じて使い分けたいものです。

ちなみに下の写真が、修復前の状態。比べてみると見違えるようになりました。
西洋の石文化と違い、古い木工品を半永久的に使う工夫というのは、とても日本らしくて大事にしたい精神ですね。

 

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