食い物にされるクリエーター達
※(当ブログでは、念珠=数珠として書いています。文脈上の理由などから混在することがありますが、ご了承ください)
近頃、良い子ちゃんぶった記事ばかり書いてきましたので、念珠とは直接関係ありませんが、たまには少々毒を吐いておこうと思います。
「ものつくり」ブーム
なんだか「ハンドメイド作家」みたいなのが、ずいぶん流行っているなと感じませんか。
それ自体はとても良いことで、楽しいアイディアで、それぞれに腕を磨くことは、とても豊かな生き方だと思います。
たぶん、それを手に取る人も商品自体の魅力に加えて、そういった思い入れや気持ちを受け取りたいのだと思います。
そこで多くのクリエーターが考えるのがネット販売、そしてイベント出店という販売方法です。
イベント出店の目的
先日はサッポロモノヴィレッジに出店してきました。
当店では、それなりに出店の意義があってだしており、売上は多いに越したことはありませんが、一番の目的ではありません。
それぞれどのような思いで出店しているかというのは、実はとても重要な事のように思うのです。
なぜ重要かというと、出品する作品のジャンルよりも、本当は出店する「心意気」で分けて欲しいと思うのです。
これ、もしイベント主催側の人が見ていたら、ぜひ聞いて欲しいです。
我々のように、それを生業にしている人、お小遣い稼ぎに来ている人、赤字でもいいから楽しめたらいい人が、隣同士並ぶのは、あまり好ましくありません。
何が言いたいかと言いますと、敷居が低く参加しやすいのはいいことですが、プロ用のイベントが少なく、せっかくプロ向けの雰囲気でも、いつの間にかお店屋さんごっこの叩き売り合戦になってしまうイベントが多いです。
本気モードのクリエーターが育たない
普通に会社や店舗を経営するというのは大変なリスクを背負います。気軽に出店できるイベントは良いことだらけのように思いますが、落とし穴もあります。
かなりのレベルで作品を仕上げて、相応の値段を付けている方もたくさんいます。ところが、素人作品を身内のバサーみたいに投げ売りする出店者が増えると、イベントの相場がそのようになってしまいます。
分かりますよね?たとえばフードコートに3万円のコース料理出して食べる人がいますか?という話です。どんなにこだわりの最高級食材を使おうと、有名シェフが作ろうと、そこでは売れません。
実は今日、あるイベントの視察をしてきたわけですが、あまり雰囲気は良くないです。見る限り、ほとんどの出店者が何をしに来ているか分からない。マンガに出てくる路上の占い師ように、ひたすら無表情で固まっています。
作品を手に取って欲しいのか、触られたくないのかすらわからない。そして、コストが回収できていないであろう価格。中にはすばらしい技術を持った方もいるのに、それが相場になってしまったならもったいないです。
クリーエーターの残念な展開
本当に良いものを作っているクリエーターが、運良く資本のある人にプロデュースしてもらえる場合もあります。急に、有名店に並べてもらえたり、ある程度の数が売れて、作るのが追いつかない様なことにもなりえます。
しかしそれって、資産家がクリエーターという商品を流通させているだけで、クリエーター本人が成功しているわけではありません。資産家はお金の流れが悪くなると、もっと儲かる物に乗り換えるだけです。
結局「ものつくり」ブームって・・・
クリエーターが増えたとか、そういう作品を求める人が増えたという事もあるのかもしれませんが、「クリエーターを食い物にする輩」が一番増えているという感じがしてなりません。
いつもブログを読んでくださっている皆さんならお気づきかも知れませんが、長岡念珠店はセルフプロデュースにこだわっています。
自身で作る念珠屋さんということで「ものつくり」をする人と言われることが多いです。しかし、僕は念珠を制作する時間の10倍以上、みなさんに念珠の魅力を伝えることに時間を使っています。だから自分は、クリエーターとも職人とも思っていません。
セルフプロデュース
もし、自分の作品を世の人に知ってもらいたいと考えたときに、イベント出店はベストな方法ですか?
仮に目的があって出店するとしたら、無表情で終了時間まで座り尽くすということは無いと思います。そういう志の高い方と、(価格ではなく志が)ハイレベルなイベントが開けたら面白いだろうなと考える事もあります。
北海道の人は、見栄えしてお手頃な物が好きです。だから、おみやげの箱は大きい。
小さくて高級なものを買うのは苦手で、まして形のない音楽や芸術、技術やサービスにお金を出すのはもっと苦手です。
でも本当に心豊かで、高い理想を持ったクリエーターがたくさんいる北海道ですので、セルフプロデュースの文化がもっと育つと良いなと思っています。
念珠自体を広める事ももちろんですが、スモールビジネスのありかた、食われないクリエーターの生き方というのも、機会があれば、これからそういう人生を考えている人に伝えたいと思っています。
そして、イベントやネットの販売サイトでも、志による棲み分けをして、活躍するべき人を食い物にせず、技術とセンスで活躍できる環境が整うことを願っています。