天然石の穴の大きさ

※(当ブログでは、念珠=数珠として書いています。文脈上の理由などから混在することがありますが、ご了承ください)

今回は、天然石の穴の秘密を、バラしちゃいますよ!

穴の大きさアレコレ

近年の天然石ブレスのブームによって、単に身につけることが流行っただけでなく、自分で作る方もたくさん増えたように思います。そして、そういう方のために、世界中で採れる珍しい石が簡単に手に入るようになりました。

もともと仏教に縁があって数珠を使っている人は、みな考えるわけです。

この石を使って数珠にしたらいいんじゃない!?

そして、トライして愕然とします。どうやっても念珠用の紐など通せるはずもありません。

それで結局どうするか。
テグスや木綿糸など細いものを通してなんとか房を後付しようとする方が多いです。

こちらの写真を見てください。

どちらも直径6mmの玉です。

左のドッグティースアメシスト(紫色)は、念珠用に穴開けしたものです。
右のインディアンアゲート(緑)は、アクセサリー用として売られているものです。

一目瞭然、穴の大きさが全然違います。

なぜ、こんなに違うのか

公表されているわけではありませんが、僕が想像している理由は3つあります。

【想像1】
アクセサリーのブレスレットにする場合、通すのはせいぜい細いシリコンゴムです。
その場合、右のような小さな穴でも十分通せますし、無駄に穴が大きすぎると通したときにセンターがずれて、見栄えしないのです。

ですから、大きければいいというわけではなく、通す意図に合う適切な大きさが望ましいと言うことです。

【想像2】
流通過程の商社の事情が有りそうです。
末端では、1個いくらという形で売られていますが、こんな数ミリのものが星の数ほど海外から運ばれて個数を数えて取引しているはずがありません。

重さを量って、キログラム単位でいくらかという取引をしています。
容積が大きくなれば輸送費もかさみますので、できるだけコンパクトで重たい方が有利に取引できるのです。

そこで、穴を小さくすると言うのは重量稼ぎにはもってこいの手法なのです。

【想像3】
大きな穴を開けるのは、技術が必要ですし手間がかかります。
玉が割れてしまう確率も上がります。

つまり、全体にコスト高になってしまうのです。

いずれも、あくまで想像で、本当かどうかは知りませんよ?
でも、ありそうな理由だと思いませんか。

業界でも使い分けています

穴の大きな方は直径約1.5~1.6mmです。これくらいの穴が開いていると、念珠用としても扱い易いです。

念珠の玉はすべて大きい穴が開いているかというと、そうでもありません。安価に作られたもの、アクセサリー業者が作ったもの、おみやげ屋さんで売られているようなものには、安く仕入れられる穴の小さな石に、テグスや細い糸を通して作っている場合もあります。

また、やや大きめの穴は開いているものの、加工の質が悪く、穴の開け方が雑だったり、入り口の角が立って糸が切れやすい玉を使っていたりする場合もあります。

仏壇屋、葬儀屋、デパート売っているもの、ブランドタグが付いているもの、こういった商品でさえ、必ずしも「高額=高品質」でない場合もあります。

どうしたら良い念珠を買えるか

売っている方に、穴の加工について訪ねてみるのも良いかもしれません。

しかし、作っている人が売っているという、うちのような商売の形態はかなり特殊で、普通は、完成品を仕入れて売っています。だから、仕立ての善し悪しまではわからないことが多いです。
商売ですから「良いものですよ」とは言うと思いますが。

逆に言うと、「この念珠は穴の加工が悪いので、長く使うのでしたら、こちらの方がオススメですよ」なんて言えるお店はかなり信用出来ると思います。

わたしの持っている念珠は大丈夫?

悪いことばかり書くと、過去に購入したり、譲り受けたものは、大丈夫なのか不安になりますね。

当店では修理のご依頼も毎年たくさん承っています。他店で買った物でも直します。
「他店で買った物は受付ません」というお店もありますが、それは、この穴の事情によるものです。加工の悪いものは非常に手間がかかる上に、すぐに切れてクレームになりやすいのです。

まったくの感覚的な数字ですが、一般の方から預かる念珠だと半々くらいの割合で、良くないものがあります。お寺から預かるものだと、さすがに良いものをお使いのことが多いですが、それでも2割くらいは、良くないものがあります。

解決策はないのか

今お使いの念珠が穴加工の良くないものだとしたら、改善したいという場合が有るかと思います。

また、珍しい石を手に入れたけど、穴が小さくて念珠として使えなかったり、アクセサリーなどから外した玉を念珠にしたいということもあるかもしれません。

そういった場合は、穴を広げる加工もすることができます。
ただ、うちで承れるかどうかは要相談です。材質でも変わりますし、数や納期、予備が有るか様々な要因を考えなければいけません。

石の加工を専門にしている業者もありますので、そういうところに依頼するのが一番良いかとは思います。

天然石の穴を大きくする方法

それでも、自分でやってみたくこのブログにたどり着いた方もいると思います。

次の記事では、穴の広げ方を公開する予定です。
もちろん自己責任でお願いしたいのですが。
ハンドメイド数珠の幅は、一気に広がりますよ。