良い念珠を持ってほしい その2 全3話(の予定・・)

その1では、念珠そのものの良さについて書きました。

次に考えたいのは、その人にとっての価値です。
念珠修理の依頼で結構多いパターンが、「直すより買った方が安い」という場合です。これは念珠に限らず、電化製品などでもみなさん経験していることだと思います。

しかし、電化製品と違うところは、念珠には思い入れがある場合が多いのです。
「亡くなったお父さんが唯一残した形見」、「お母さんが嫁入り道具として持たせてくれたもの」、「旦那さんを亡くした縁で購入したもの」理由は人それぞれですが、物質的な価値で判断できないことも多く、そうなると「買った方が安い」は大きな障害になりません。切れた状態でしまっておくよりも、綺麗に直して使った方が良いと思うのです。また、その1連の思い出の念珠が今を生きる者の合掌する機縁となることは素晴らしいことだと思います。

うちでお買い上げいただく念珠の中でも、実は意外と多いのが贈答用です。お寺からお檀家さんへの記念品だったり、何かのお礼、社会人になった息子へ、お姑さんからお嫁さんへ・・等々、こういった念珠は、機会あるごとに、「あの時にいただいたものだな」という想いがいつまでもついて回ります。また、自分で購入したものでもよくよく選んだものであれば、「若い時にすごく気に入って買ったの」と思い出を語ってくださる方も少なくありません。そういった方がお持ちの念珠は「良い念珠」だな、とお預かりするときに感じます。

新品を買っていただくよりも修理は手間がかかって利益が少ないので、嫌う業者が多いと思います。しかし、僕は「想い」という付加価値がついた念珠を直していきたいと思うのです。「良い念珠」を残したいからです。後世の人にとって「良い念珠」の存在は、一節の法話よりも意義深いものになるかもしれないと思うからです。
また、時代のニーズを考えると、物質的な満足感はすでに飽和状態で、「想い」に価値を見出す時代な気がします。たとえば、ボーナスが上がったので購入したという新型ロレックスより、じいちゃんが使っていた腕時計を修理して今も使っているという話のほうが羨ましいと思いませんか。

修理はもちろんのこと、新品をお買い求めの際には、じっくりと気に入ったものを選んでいただきたいなと思う理由です。

「良い念珠を持ってほしい」その3へ続く・・

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