数珠に使われる菩提樹(ぼだいじゅ)の実

※(当ブログでは、念珠=数珠として書いています。文脈上の理由などから混在することがありますが、ご了承ください)

数珠に使われる材料といえば?

お釈迦さまがピッパラの木の下で悟りを開いたといわれており、日本語では「菩提樹(ぼだいじゅ)」と訳されています。

念珠の材料としても「菩提樹の実」がよく使われます。この「菩提樹の実」と呼ばれているものが、とても種類が多く、「本物の菩提樹ですか?」と尋ねられると、それは一言ではお返事できません。

菩提樹とはなにか

まずもって、インド、中国、日本といわゆる仏教の北方ルートで菩提樹と呼ばれている木が、少なくとも5種類あるそうですが、当然、熱帯にしかない木もあれば、中国、日本の温帯でも育つ木もあります。
日本の菩提樹に至っては、葉っぱの形がにているということで、日本語でも正式に「ボダイジュ」という名前になってしまったそうで、植物上は全く別の木です。

インドと日本だけ比べても、当然、同じ木が自然に育つはずはありません。

どんな種類があるのか

念珠の材料としては、すぐに思いつくだけでも・・

星月菩提樹(せいげつ ぼだいじゅ)
龍眼菩提樹(りゅうがん ぼだいじゅ)
鳳眼菩提樹(ほうがん ぼだいじゅ)
蓮華菩提樹(れんげ ぼだいじゅ)
天竺菩提樹(てんじく ぼだいじゅ)
緬茄菩提樹(めんか ぼだいじゅ)

・・まだまだ色々ありますが、いずれにしても、お釈迦さまが悟りを開いた菩提樹の実ではないそうです。

現在は、流通量が減って、日本でも特に人気のある星月菩提樹も中国側が売りしぶっているという噂も聞いています。
(※記事を投稿した2014年ころの投稿で、現在はまた星月菩提樹が多少入荷できています)

環境や採取のペースなどいろんな問題があるのかもしれませんし、生産地では、バナナの木を植えた方がお金になるから菩提樹を減らしているという話も聞いたことがあります。

お釈迦様が悟りを開いたというピッパラの木

僕も実物を見たことはありませんが、ピッパラの木の種は小さくて数珠の玉にならないと聞きます。

お経にでてくる菩提樹

たとえば「校量数珠功徳経」というお経には、菩提子なら「その福無量にして算数すべからず」と水晶や珊瑚に比べて、最上級の材料だということを謳ってますので、そのお経ができた時代(地域)で、すでに「菩提子」の定義がピッパラの種からずれていることが予想されます。

大乗仏教ではありがちな話ですが、現実的にはお経もあてにならないというのは、日本人にとってはけっこうショッキングな事実です。
もちろん、お経を否定したいわけではありません。経典のエピソードをもって、何を伝えたいかということですからね。
たとえば、浦島太郎を読んで、「カメに乗って竜宮城に行くなんて真実であるはずがない」と否定するのは筋違いですし、生物学的にカメの研究をするために竜宮城の話は役に立ちません。

日本でもよく見かける「菩提樹の数珠」

bodaiju

左の白い玉は星月菩提樹(せいげつぼだいじゅ)と呼ばれているもので、大玉は比較的高価です。右は、ジュズボダイジュと呼ばれているものです。チクナーの実とラバダールの実のどちらかだと思いますが、いわゆる本物(?)はチクナーの方です。どちらも元の木とは違うのに、本物というのもおかしいですが・・

インドでの価格差は100倍くらい違います。わかる範囲での検証の結果、大玉の赤味が強い方はチクナーかもしれませんが、小玉の方は信憑性60%といったところです。また、これこそインド産と思っている人も多いようですが、実際には、インドネシアの方で採れるそうです。

「菩提樹」とつくものは、すべて偽物なのか?

結局、「本物の菩提樹って何?」と言いたくなりますが、これもまた、方便の一つなのかなと考えます。
木像でも石像でも仏像を彫りますが、どの材料をもって表せば本物の仏かと問うこと自体おかしいのと同じと考えることはできないでしょうか。その時代、その地域の気候によって手に入る実の中から、この実をもって私たちにとっての菩提子としましょうと、天竺に想いを馳せながら方便をもって「本物の菩提樹」を意味づけてきたのかもしれませんね。

※この記事は、不確実な情報が多いことをご了承ください。
植物、地理、仏教関連の書籍、取材を参考に主観を交えて書かれています。
2014年に投稿され、2017年に加筆、修正しています。

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