反骨のブッダ 高山龍智(著)

久しぶりに、仏教関連の書籍をご紹介します。

反骨のブッダ 高山龍智(著)

インドによみがえる本来の仏教・日本人が知らなかった仏教の真髄

単行本(ソフトカバー): 152ページ
出版社: コスモトゥーワン (2018/1/11)

Amazonで購入できます

なんのための仏法か?

巻頭言は、著者が師父と仰ぐ、佐々井 秀嶺師がメッセージを寄せています。
インパクトのある赤い帯。

師弟愛に、厳しさと暖かさを感じながら読み始めました。

他の仏教書とは、毛色の違うロックな話

副題の通り、全編を通じて今インドで生きている仏教について書かれてています。

ヒンディー語、パーリ語、サンスクリット語の話題が多く、著者はブッダが語ったであろうインドの語感をとても大切にしている印象をうけます。

例えば、日本の景色を知らない人が、英語で訳されたの俳句を読んだとしましょう。魅力の大部分が伝わらないということは、想像に難くありません。
そのように仏教を見た事があったでしょうか。

美しい韻を踏んだインドの言葉の響き。
無常、苦、無我・・・、そして、仏法僧。

今までどうしてもすっきりしなかった原因は、僕がインド人ではないから。と言うのは乱暴な解釈かもしれませんが、インドと日本の文化や言葉、習慣を対峙して考えると、ストンと腑に落ちるところが多々ありました。

「反骨の」の意味が、読み進めると少しずつ分かってきます。

感じる仏教

考えてみると、ある音楽を聴いて「こういう曲好きだなぁ・・」と感じるときは、作詞作曲はどんな経歴のものか、どういう背景で書かれた曲か、どういう歴史がある音楽なのか・・そんなことを勉強した結果で好きと感じているわけではありません。

仏教においても、もっと感じる部分が大切にされなければ、哲学書を読みこなせるような人だけが救われる仏教になってしまいます。それは、とても不自然な仏教のあり方です。

近頃は情報過多で、仏教に対しても勉強家の人ほどナナメに構えてしまいますが、この本を読み終わる頃には、少し素直に仏法を感じることができるかもしれませんね。

教理的な話は抜きにして、というのは逆に難しい話です。
インドについては言うまでもなく、所属宗派のみならず仏教全般に非常に造詣が深い筆者だからこそ、文化や語感のことを強く言えるのだと思います。

こんな方に読んで欲しい

日本の各宗派の中で勉強はしているが行き詰まったなぁという方、そして、「原始仏教」、「テーラワーダ仏教」と言われているジャンルが好きな方。
どちらも、殻に閉じこもった志向になりがちです。きっと、もう少し仏教を俯瞰してみていただくには最適な本です。

インド人が残した言葉だということ。
ブッダが、アンベードカル博士が、佐々井 秀嶺師が、インドのどのような方に寄りそったのか。

それだけでも、僕の場合は、抜け落ちていた感性に気づけたのでした。

また、内容はかなり突っ込んでいるけども、言葉はやわらかく非常に読みやすくなっていますので、仏教書を読み始めて日が浅い方も、さらっと読めてしまうと思います。

仏教の話にまったく触れたことがないという方でも十分読める内容だとは思いますし、もちろん初体験を著者の見方から入るのもアリだとは思いますが、「誤解」と「本来」の対比はピンとこないところがあるかもしれませんね。

よろしければ、参考にしてください。

合わせてこちらもどうぞ

少し古い本になりますが、インドの仏教に興味を持った方は、佐々井 秀嶺師の半生を綴ったこちらも読まれると、著者との師弟やりとりも、より深く読んでいただけると思います。