念珠が1万円! 高い? or 安い?
「念珠って、いくらくらいで買えるの?」
お客さんとしてではなく、別なところで知り合った人によく聞かれる質問です。
これはなかなか難しい質問です。
今や100円ショップでも売っています。
500円のものもあれば、5千円、5万円、50万円だってあるのです。
値段の付け方
商品の価格って相場があるんでしょ?
まず知っていただきたいのは、ほぼ同じだろうと思われる商品でも10倍値段が違うことが平気であるということです。
これは念珠に限った話ではありません。
100円のコーラを1000円で売る
昔、そのようなタイトルの本が売れていました。
そんな事あり得るのか?思うようなタイトルですが、簡単な話です。
コンビニで1本1000円のコーラが売れるはずはありませんが、高級ホテルのスィートルーム、ルームサービスを頼んだとしましょう。
ボーイがワゴンで運んできて、バカラのグラスにアイスペールからロックアイスを入れます。
その場で、プシュっとコーラの缶をあけて注ぎました。
それを、革張りの高級ソファーで、仕立ての良いガウンを着て、ホテル最上階の夜景を眺めながら飲みました。
チェックアウトのときに、昨夜のコーラが1000円だと知っても、全く不思議には思いません。
念珠の場合はどうやって決める?
さて、念珠の値段に話を戻しましょう。
仏具関係全般に言えることですが、「高くするほど有り難い」という不届き者の理論がまかり通っていた時代がありました。
一応断っておくと、高くすることが悪ではありません。
ホテルのコーラのように、コーラをよく知っているお客さんの満足に対して適正な対価なら良いのです。
ネットで情報が溢れ、他店の値段も簡単に調べられるようになった今は、法外なぼったくりは少々落ち着いた印象もあります。
逆に、「見た目」と「適正価格」が固定されると、見えないところでコストダウンを計るしかないという業者が多いのも残念なところです。
提案、材料の質、加工、仕立、そしてアフターケアまで含めると、うちではかなりのコストパフォーマンスで提供しているつもりです。
その中でも、値段を決めているのは、材料の質と加工の部分です。
他の項目に関しては、値段が大きく違っても、対応はほとんどかわりません。
他社さんはわかりませんよ。あくまで長岡念珠店の場合です。
1万円の念珠は高いか?
たとえばレストラン
そこそこの料理を出すお店で、ちょっとしたコース料理とお酒を飲んだら1万円というのは、ファミレスよりはかなり高いですが、高級店までは行かないと思います。
顧客単価1万円というのは、外食産業が、今一番狙っている価格帯らしいです。
ゆっくり食べても2時間くらい。念珠は一生使えます。
たとえば遊園地
東京ディズニーランドの1デイパスポートは、7400円。
これに、決して褒めらたものではない園内のレストランでランチを食べて、ポップコーンを買ったら1万円。
遊園地なら1日楽しめます。念珠は一生使えます。
たとえば洋服
アパレル業界とはすごいもので、いわゆるファストファッションの安さには驚くばかりです。陰では多くの問題も抱えていますが、その話はさておき・・
「しまむら」に行けば、ちょっとしたスカートとセーター、そして、今年流行っているデザインのコートを買っても、1万円くらいでいけてしまいます。
1シーズン着たら流行も過ぎてしまいます。念珠は一生使えます。
それでも高いですか?
「うわっ、念珠やっす!1万円安すぎ!」
ってなればいいのですが、現場では、1万円の念珠とはけっこう意識高い系のレベルです。
意識高い系のお姉さんが買ってくださる、ブルークォーツの雫(しずく)カット仕立 10,800円
現実は厳しいもので、うちで一番たくさん仕立をしている念珠は、3千円くらいの古い念珠を2千円くらいで修理しています。
いずれにせよ、100円ショップには何も罪はなく、それが世間の感覚だということを肝に銘じて、業界のイメージアップを考えたいと思っています。