ベリルの加工しております

昨日の記事でご紹介したマルチカラーのベリルですが、お陰様で好反応をいただきましたので、さっそく加工に入りました。

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輸入された材料は、仮通しの糸が通る程度の穴はあけられているものの、念珠に使えるような加工ではありません。
ガタガタの穴をまっすぐに直し、念珠用中糸の適正番手が通せるように穴を広げます。穴の際が鋭くなっていると中糸が切れやすくなってしまうので、角を落とします。木工と同じで、「面をとる」という言い方もしますね。
さらに、削りっぱなしでは削面が白くなってしまいますので、石の硬度に合わせて特殊な砥石ビットの番手を上げながら磨いていきます。
このような作業を一粒ずつやるので、結構な手間といえば手間ですが、これで、使い心地も、耐久性も全然ちがいます。透明な水晶や虎目石、瑪瑙など、念珠玉としても定番の材料は、きっちり加工されて非常に質の高い加工をしてくれるところがあり、そういった定番品は、うちでもそういった業者から材料を仕入れていますが、このように珍しいもは、念珠を前提として加工されたものはありません。

比較的安価に売られているものは、石の名前ばかりを強調し、素材のグレード、仕立ての丁寧さには触れていないことが多いです。うちで修理として預かる念珠のなかにも、こういった輸入材料で仮加工のままの状態で無理やりテグス等を通して輪にした念珠を預かることがあります。直してもすぐに切れたと2往復する場合もありますが、申し訳ありませんが、状態の悪い玉ではある程度しかたありません。値段の問題ではなく、余程思い入れがある念珠でしたら、このように玉自体を加工して調整することもできます。
「亡くなった母が残した唯一の形見で、これからも使っていきたい」というようなパターンのご希望もけっこう多く、少々手間代をいただきまして、手を入れさせてもらうこともあります。

あらゆるご要望に何とかお応えしたいと思い、そこまで相談になってくれる念珠屋は本州でもなかなか無いんじゃないかと思います。おかげで、無理難題を持っていらっしゃるお客様が後を絶ちません。笑
しかし、手間のかかる仕事に限ってお客様の思い入れが強いことが多く、心情的にこちらもあまり高い値段をご提示できないのが辛いところではありますが、精一杯の対応はさせていただきたいと思います。