木の念珠のこと
念珠の素材は十連十色
念珠には様々な素材が使われます。
代表的な木や木の実、天然石の他にも、琥珀、動物の骨や角、海産物(珊瑚、真珠、海松、貝類など)等様々です。
そのような中で、経典に登場する石、念珠作りが盛んな地域でたくさん採れた木、見た目が美しく珍重されたものが、念珠の材料として発達しました。
中でも、中国や東南アジアで産出される唐木と呼ばれる類、黒檀、紫檀などの密度が高く非常に固い高級木材は、見た目に美しいだけでなく実用的な強度もあるため、非常にたくさん使われるようになりました。
高級木材なのに安い?
経済の原理で、大量に流通すると価格は下がります。今でも、唐木の念珠は非常に安く買うことができます。
ここからは僕の勝手な憶測ではありますが、一昔前は、石を加工する技術が現代ほど優れておらず、素材の価値というより、採掘と加工の「手間」で高級になっていたように思います。
近年は天然石も綺麗に加工されたものが安価に売られるようになりましたが、古くから木工が発達した日本では、習慣的に木は安く、石は高いという価格相場は崩れていません。仏教伝来の北方ルート他、キリスト教のロザリオやイスラム教のタスビ等、玉を繋げた宗教用具は世界中にありますが、場所によっては石油よりも水が高いということがあるように、地域によっては木の方が高いという国があるかもしれません。
業界の情報ですが、唐木や木の実の産出国が日本へ売り渋っているという噂がでています。念珠だけでなく、和室の床柱など、唐木の需要は減っているのかもしれませんが、今後も流通量は減少傾向にあるのは間違いないように思います。
木の念珠の価値
しかし、残念ながらあわてて唐木の念珠を手に入れも、宝石のように希少価値が上がって急騰するとこは考えにくいですね。(建材として使えるほど大きな材を大量保有しているというなら話は別ですが・・・)
念珠の選び方として、「資産価値」を基準にするかたもいます。資産というほどの価格ではないのですが。
たとえば1万円と値段がついていれば、本当に1万円相当の価値があるものなのか?その価値を保有できるのか?と考えるかたです。
いわゆるボッタクリも横行している業界ですので、最低限の知識を持ってチェックはして欲しいですが、そういった基準でしか善し悪しを決められないのも寂しい話です。(正直いって、価格相応の価値かどうかは、商品よりもお店選びで慎重になった方が得策です。)
念珠に限った話ではありませんが、「高い=良いもの」「安かろう悪かろう」ではなく、自分にとっての価値を大事にして選んでいただきたいと思います。
木の念珠の良いところ
木の念珠は、軽くて丈夫。通年、よく使う方は冬になると触った感じが温かいの好きだといいます。
それにたくさん使い倒しても切れにくいです。
また、石よりも経年変化が出やすいのも特徴です。このあたりは「古くなった」と感じるか、「味がでてきた」と感じるか、意見がわかれるところですので、正解はありません。少なくとも、経年変化を楽しみたいので、木の念珠がほしいと希望される方も多いです。
そう言われると、木の念珠がほしくなりますが、華やかさで言うと天然石に軍配があがります。
そんな風に迷っているかたは、主玉は木、道具(親玉、二天玉、ボサ)には天然石を入れたデザインはいかがでしょうか。様々なバリエーションも考えられますよ。
