イクネン(育児しながら念珠を作るひと)の道具

手工芸の道具と言うのは非常におもしろくて、 日々、進化していきます。

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このブログをご覧になっている方の多くは念珠に興味ある方だと思いますので、京都の職人さんがどんな道具で作っているか見たことがあるかもしれません。
僕は、房の軸を編み込むときはこの写真のような台を作りテーブルの上に置いて使っています。古いものだと、畳に座って作る前提で、床置きの高さがあり、重りの入った箱が下についていたりします。最近の工房だと、作業台に備え付けで、金属製のものが多いかも知れませんね。そして、念珠がかかっている先端部分は、千枚通しか目打ちのように針状になっていると思います。本当はその方が細かい輪でも掛けやすいし、絞め込んでも抜きやすいので作業はしやすいのですが、僕はあえて太めの木製にしてあります。木工が好きな方なら写真を見てわかるかもしれませんが、板接ぎに使う木ダボを差しているんです。そして台座は固定せず、ちょっとした重りを乗せてあるだけです。底にゴムが貼ってあるので、結構引っ張ってもずれることはありません。

うちは、夫婦で細々仕立てをやっております。育児と仕事を分離するわけでもなく、どちらも半分になっています。一時期は一室を作業部屋にしようとしたり、固定の作業台を用意したり試行錯誤したのですが、そうこうしているうちに子供が2人、3人と増え、子供と別室で作業するということが難しくなってきました。いつのまにか、子供たちを見ながら作業するというスタイルに回帰して、それにともなって道具も変化しました。子供が引っ張って落としたり、悪戯したり、とにかく、上向きに針が出ているというのは想定できる危険が多すぎます。また、いろんな場所を考えた結果、食卓で作業するのが一番やりやすく、設置とかたつけに時間がかからないように、固定しなくても安定して作業できる形になりました。クランプで台に固定するものも使っていましたが、天板が厚いテーブルでは使えません。これなら、その時の状況に応じて、別な机やテーブルでも平らな場所さえあれば作業をすることができます。
ちなみに、傍らに置いてある板は、糸を計る道具で、その仕立によって無駄のない長さを何種類か使い分けています。

今は1~5歳の乳幼児が3人という状態ですが、3人とも学校に上がるころには、道具も作業場所も変わっているかもしれませんね。

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