数珠?念珠?珠数?

※(当ブログでは、念珠=数珠として書いています。文脈上の理由などから混在することがありますが、ご了承ください)

うちは創業時から、「長岡念珠店」という名前で営業しています。

念珠ってなに?

同級生に久しぶりに会って、「おまえ今何やってんの~?」なんてことがあるじゃないですか。
「念珠を売っててね」って返事をすると、「え?なんて?」と99%なるわけです。

初めのうちは、「まさかそんな職業、何故そうなったの・・」という意味だと思い込んでいたのですが、意外とそれだけではありませんでした。

「ネンジュ」と聞いてそもそもなんの事か分からない同級生がいるのです。

また、こんなこともありました。

郵便局で窓口に新人局員が座る春、荷物の品名を「念珠」と書くと、「中身はなんですか?」と聞かれました。「数珠」の方がなじみがある方もいますので、「ジュズと言った方がわかりやすいですか?」と返しても「はい?」という反応。

言葉の問題では無く、そもそも数珠を知らないのです。
神道か、クリスチャンかもしれませんが、それにしても一般単語として知っておいて欲しいものです。

ここまで書いてなんですが、一応念珠店のブログですので、さすがに念珠がなにかという説明までは、今はしません。

数珠(じゅず)と念珠(ねんじゅ)の違い

これは、実は同じものをさしていて、ものとしての違いはありません。

たまに、念じながら使うものだから念珠が正しいとか、私たちは念仏しないので数珠というべきだという方もいますが、色々調べても、決定的な使い分けはありません。

例えば、禅宗、真言宗では数珠ということが多い気がします。ただ、密教経典では念珠となっており、高野山のお店では、数珠ではなく、基本的に念珠を前面に出しているように思います。浄土真宗をみますと、本願寺派では念珠、大谷派では数珠と言う人が多い気がします。統計では無く、あくまで個人的な体感値です。

日蓮宗の方はほとんど数珠と言いますが、文章では数珠(念珠)とも書いたり、ちょっと念珠に気を遣ってる感じを受けることもありました。お題目を数えるので数珠というほうがなじみやすいのだと思いますが、日蓮聖人は「念珠」を使っていたという話もあります。でも、日蓮聖人の刀は「数珠丸」なんですよね。日本刀の世界でも有名な名刀です。

地域でいうと、東日本は圧倒的に「数珠」派が多く、西日本では、数珠派と念珠派が半々くらいのようです。これは、検索キーワードの地域別のランキングをみるとそうなっています。

ちなみにここ北海道は、やはり東日本の流れをくみますので、数珠派の方が多いかもしれません。

数珠と珠数はどう違うのか

どちらも、「じゅず」と読みます。地域によっては訛って、「ずず」とか「ずじゅ」というところもあるそうです。

感じの順番はどちらが正解かというのも未だに決着は付いていません。

京都の老舗の組合は「珠数」を採用しています。なので、その界隈の方は「珠数」が正しいという主張はあるかもしれません。

しかし、一般的な日本語入力で「じゅず」とうつと「数珠」になると思います。

以前、数珠に関する経典の解説書で100年以上前のものを読んだことがありますが、そこでも、経典に数珠と書いてあるのに、出入りしている数珠屋の袋には「御珠数」とあるが、商売人は云々・・という文書がでてきます。また、南無阿弥陀仏だろうと南無妙法蓮華経だろうと、信仰の手立てになるので、どちらでも良いというような続きもあります。

実は最近面白い発見がありました。僕はパソコンにATOK(という日本語入力ソフト)を入れていますが、「じゅず」と打つと「数珠」しか出ませんが「じゅずや」と打つと「珠数屋」が先に出ます。

結局どれがただしいの?

ずいぶん昔から全く平行線のまま今日至る曖昧な単語ってすごく面白いと思いませんか?
真相は分かりませんが、どれでもありなでしょうね。

とにかく、親しんだ呼び方で問題になることはないかと思います。よその方は違う呼び方をすることがありますが、同じものをさしてるんだな、という解釈でOKだと思います。

最後に・・・

なぜ、長岡念珠店は、数珠店、珠数店にしなかったか。

正直、さほど深い意味は無いのですが、商売を始めた頃に支えてくれた方達が、比較的「念珠」と呼ぶ方が多かったことと、「数珠」というと数をとるカウンターとしての機能の意味合いが強くでてしまって、「念珠」のほうがなんだか人間味を感じて響きが好きだったんです。

今だに、「長岡念珠堂」とか、「長岡数珠店」とか混同されることがありますが、うちは「念珠」そして「店」ですので、どうご以後お見知りおきいただければと思います。