『60分でわかる!仏教書ガイド』星 飛雄馬 (著)

読書の春(とは言わないか)、皆さまいかがお過ごしでしょうか。

広がりつつある電子書籍市場

あれだけ電子書籍はだめだと言っていた僕も、とうとうアマゾンで提供しているキンドルに魂を売ってしまいました。

しかも、専用リーダーまで購入し、読み放題プラン「Kindle Unlimited」にも入って読書を楽しんでいます。(まさにパウロの回心状態である)

最近は、紙と電子書籍を選べる本が増えてきましたが、今回は電子書籍でのみリリースされている本になります。専用リーダーがなくても、Kindleのフリーアプリをダウンロードすることで、お使いのスマホやタブレット、パソコンでも購入して読むことができます。

『60分でわかる!仏教書ガイド』星 飛雄馬 (著)

『60分でわかる!仏教書ガイド』星 飛雄馬 (著)

(まえがき より) **********
職業柄か、よく「仏教について知りたいのですが、まず最初の一冊にはどれを読んだらいいですか?」「仏教の瞑想について書かれた本で、おすすめのものはありますか?」といった質問を受けることがある。
そのような時、簡単に返答をするのは容易ではない。なぜなら、質問者の仏教への理解度に応じておすすめの入門書といったものは変わってくるからである。なおかつ、仏教は現在世界中に広まっており、おすすめの瞑想の本と言われても、どのような宗派の仏教かによっても異なるからである。
***************

これ、まったくその通りで、僕もよく同じ質問を受けます。同じく職業柄でしょうか。

どれから読んだらいいのかわからない

例えば数学でいえば、足し算を練習中の小学生が参考書を探しているときに、学年に応じたものか、ユークリッド幾何学について論述されたものか、取り違えてうっかり選ぶことはあり得ません。

しかし、仏教書になるとこのようなことがしばしば起こり得るのです。求めている内容と合わない本では、用語の理解すら困難な場合もあります。

おすすめする立場の人にも

「仏教書は何から読んだらいいですか?」このような質問を受けた際に、「あなたは仏教の何を知りたいのですか?」と質問を質問で返すのはナンセンス。

そんな、何から読んだらいいかわからないという方は、ぜひ参考にしてほしいガイドブックです。

このブログを見てくださっている方は、僧侶や既にかなりの仏教マニアな方も多いような気がしますので、ひょっとして、同じようにお薦めする立場の方もいるかもしれません。そういった方にとっても、参考になるのではないでしょうか。

内容の偏りは、著書の本物の経験で語っているから

ガイドブックにありがちな、平等で当たり障りない選書・・という感じではないのがまた興味深いです。

テーラワーダと曹洞宗に関しては、読みやすい物からかなりハイレベルなものまで充実した内容になっていますが、その他の日本仏教に関しては、紹介されている本が少なくなっています。

それだけ、星氏自身の修行経験を絞り出し全力投球したガイドということなんだと思います。

それぞれのご宗旨を深く勉強をされるのは大変有意義なことですが、他所のことは全然聞いたことも無いという方も、こちらのガイドブックを世界の仏教を知る機縁としていただきたいなと思います。

一通り読んでいるという方も、一読の価値あり

僕にとっては、「すでに読んだ本」「これから読もうと思っていた本」、「知らなかった本」がちょうど3等分という感じの割合でした。

では、すでに読んだ3分の1は無駄な情報だったかというとそうではなく、ポイントがまとまった紹介文は、読書のおさらいになるだけでなく、自分の浅学なゆえ取りこぼしていた理解にも気づかさせてくれます。もう一度読まなければという気になります。

また、単に、内容の紹介に終わらず、2章を読んでから1章に戻った方が理解しやすいとか、どこから読んでもいい法話集など、読み方の配慮までされているところは初心者にはありがたい部分です。

読書好きにはありがたい読み放題

ちなみに、「Kindle Unlimited」の読み放題対象になっていますので、サービス利用中の方は、迷わず落としてくださいね。

今思ったけど、読み返したくなった本は、やはり本棚で背表紙が見えていることに安心感があります。これだけは電子書籍にどうしても勝てないところです。