『浄土真宗の信心がこんなにわかりやすいわけがない』 石田智秀 著

この度、読ませていただいたのは、浄土真宗本願寺派お坊さんが書かれた、電子書籍です。

今のところ僕はまだまだ紙の本から離れられそうにありません。とはいえ、少しずつ電子書籍を選択する機会も増えました。このたびは電子書籍のみということで、すぐに購入ダウンロードさせていただきました。なんといっても、本屋にいかなくても、配達を待たなくても瞬時に読めるというのは、いまだに近未来体験のような感動があります。

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十勝のお寺に生まれた石田智秀さん、今やあちこちでお名前をお見かけするようになりました。
タイトルの通りの内容で、本の構成は法話形式になっていますが、聞きなれたお西さんの法話とは少々趣が違います。浄土真宗のみ教えはこうなんですよという直接的な表現ではなく、浄土真宗の「信心」について石田さん自身が「わからない」と悩んできた中での思考や出会いがつづられています。なので、頭ごなしに「そういうもんだ」という理解ではなく、みんな違和感を感じるところから、徐々に気付かさせてもらったように共感していける話でした。

僕は念珠屋をやっていて、ここ数年は浄土真宗のお寺に出張出店させていただく機会もずいぶん増えました。とてもご好評いただいておりますが、時には微妙な反応の場合もあります。
「オレは信心深くないから、そんな立派な念珠はいらねぇ」という言葉は、度々言われることです。多宗派ならまた別なお話にもなりますが、浄土真宗のお寺ですので「おじさんの信心なんて、そもそもあてになりませんよ」と思わず言ってしまいます(心の中で・・・笑) といっても、門徒さんじゃないとその意味も通じないように思いますが。

浄土真宗でいうところの「信心」というのは、とても難しいしわかりずらいと思います。世間的に難しいもんだという認識があればまだいいのですが、誤解をされることが多いようにも思います。そういう僕も別にわかっているというわけではありません。以前、「長岡君、いい話だと思って聞いてわかった気になっちゃいけないよ。「仏法を聞く」じゃなくて、「仏法に聞く」だからね」と言われたことがあります。なんか禅問答みたいな言い方ですが、自分の腹で「わかった」というのは、一番怪しいということにはなんとなく近頃気づいてきました。石田さんもずいぶん悩んだんだろうなということが、読ませていただきながらひしひしと感じます。僕の場合は、そんな浄土真宗の「わかりずらさ」の部分も、どこか他人事という腹があるのかもしれませんが、お寺の息子に生まれてしまうと漠然としたプレッシャーの中で悩み抜いてきて今があるのでしょうね。

なんだか浄土真宗ってちょっと面白いんじゃない?と思い始めた方が読むと、うなずくところが多そうです。
表紙いいですね。普段の石田さんのイメージからは想像できないけど、どこか内面的にはこういう側面もお持ちなのかなと思わせる元気な表紙。
今後のご活躍にも期待します。

『浄土真宗の信心がこんなにわかりやすいわけがない』(kindle版)
石田智秀 著
価格 250円
響流書房

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