日蓮宗用数珠の組直し

ホームページを見たということで訪ねてきてくださったのは、市内の日蓮宗の方で、お持ちになられた数珠はずいぶん使い込まれた日蓮宗用でした。

日蓮宗は本式へのこだわりが強く、一般在家でも日蓮宗用の本式数珠を強く勧められます。
以前、日蓮宗の総本山になります身延山様に数珠についての問い合わせをしたところ、日蓮宗宗務院という機関より丁寧なお返事をいただきました。いずれにしても玉の数、配列については正式にこだわってほしいということ、ただし、玉の素材、房の色については規定がなく、近年、菊房に代わって主流になっている釈迦梵天(小田巻梵天、かがり梵天ともいう)については問題ないということでした。
歴史的な資料も合わせていただき、よく見ると、今の数珠の形が最初からまったく違うものを古い時代は使っていたようです。これはどの宗派にも同じことが言えて、正式が後からついてくるというなんとも興味深いことです。

日蓮宗の数珠は、どの宗派よりも玉も房も多く、軸糸のくみ直しとなれば、非常に手間がかかります。
それゆえ、数珠自体の価格としては手間賃の占める割合が大きく、安価な材料であれば、買っても直してもほとんど同じということはよくあることです。しかし、「想い」がこもると物質的な価値だけで価格の比較ができなくなります。今回お預かりした2連も、このように先代から受け継いだものを自分好みにアレンジして、奥様と息子さんが使われるということでした。箪笥の肥やしになることなく、次の世代に伝わるご縁があったのですから、なによりですね。

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