気になるお地蔵さん

最近気になっているお地蔵さんがいます。
いや、石仏だというだけでお地蔵さんと決めつけるのは早とちりかもしれません。
地蔵菩薩といえば、玉持ち錫杖が多いけど、なぜか舟形地蔵になると合掌が多い。そのほかに特徴がないし、舟形地蔵とみるのが、自然でしょうか。仏像関係はとくに苦手ジャンルだけど、ちょっと調べたいと思ったわけです。

左側の文字は「七月十五日」、右側には最初に「文」中ほどに「三」がはっきり見える。そうなると、頭に「文」がつく元号かなというのが想像できます。しかし、調べると頭に「文」の元号は13もあるのです。2番目の文字が明らかに一致しないものを除いて、一番近いように見えるのが、「文政」。江戸時代中期の元号。
天皇とはいえ昔はそんなに長生きではないので、元号は数年ごとに変わるのが常でしたが、文政は13年も続いています。そうなると、文政三年か、文政十三年の可能性もでてきます。でも、「三年」ではなく、「三月」にも見えてしまう。

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新潟県で出土したらしいということだけは聞いています。
あの辺りは親鸞の流罪以降、今でも真宗だからけで有名な地域ですが、実は、地蔵信仰は浄土思想とともに広まったとも言われています。実際にとてもお地蔵さんが多い地域なんだそうです。
これはとても興味深く、極楽浄土を説かれた地域の人は、「もし救われなかったら・・・」ということを同時に考えいたということなんでしょう。浄土真宗の教義にお地蔵さんはでてこないけど、「佐渡の地蔵信仰」も、浄土思想の裏で確実に根を張ってきたということなのです。

お地蔵さんは、仏教でいう地蔵菩薩の意味を超え、民俗信仰として独自の進化をしています。
このお地蔵さんのこと、もうちょっと何かわかるかなぁと期待していたのですが、結局年代すら想像程度のことしかわかりませんでした。しかし、暇つぶしにこんなものを彫るはずもなく、誰かがよほどの目的を持って作ったのは間違いありません。ずいぶん昔の人が何かしらの願いを込めて彫ったものだとしたら、それを想像するのはとてもロマンチックです。

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